一時帰国: 免許更新
実家に戻って3日目は、朝早くホテルをチェックアウトした。(実家に戻ったが、ホテルに泊まっていた)
帰国の重要ミッションの一つ、"期限切れの免許を更新する"を遂行するためである。
1年前、コロナで帰国が難しくなってしまった時期に、免許の更新時期を迎えてしまった。帰国できそうもなく、電話して確認したところ、"海外にいたのであれば、期限が切れても更新はできる"と聞いたため、その時は帰国しなかったのだが、今回、離婚やその他の用事もできたため、満を持しての帰国となった。
そんなにしょっちゅう帰国できる身でもないため、帰国時に確実に用事を終わらせておきたい。
そのため、帰国を決めてから実家の警察には何度も電話して確認した。
まずは、日本に帰国していない証拠にパスポートのスタンプが必要だった。
あまり意識していなかったのだが、最近は入出国の際のスタンプが必須ではなくなっているらしく、ここで確認できなければ、手続きに支障が出てしまうらしい。(日本にいなかった期間が特定できない。)
過去のスタンプを確認し、今回の一時帰国の際にも、インド出国、日本入国でしっかりとスタンプをもらう様に言われた 。
帰国する直前と帰国後すぐに、必要書類についての確認のために警察に何度か電話した。
手続きのためには、戸籍の附票が必要であることは聞いていたので、それは日本に到着した日に横浜の区役所に取りに行っている。
その他には、免許と更新のお知らせのハガキ(両親が預かってくれている)の他に、現在の一時的な滞在先を示すため、その場所の世帯主が私の一時滞在を証明する書類と世帯主の身分証明書が必要なのだそうだ。
事前に一筆書いてもらってもいいが、免許センターに用紙が準備してあり、間違いも少ないため、警察からは世帯主の同行を勧められた。
その他に申し込み書類や写真などがあったが、それは免許センターで準備できるため、事前の用意は不要だった。
私の場合は実家に一時滞在しているので、世帯主は父親である。父親は倒れて入院してから左半身が不自由であるから外出させるのは気が引けたが、問い合わせした結果、実家から車で10分程度の免許センターでも手続きが可能だと分かったため、お願いして同行してもらうことにした。(メインの免許センターでしかできない手続きもあるため、家の近くのセンターでも対応できるか確認した。)
当日はあいにくの雨であった。
私は免許が切れていて運転できず、父親は体が不自由、母親はもともと運転ができないため、元々タクシーで行く予定ではあったが、体が不自由な人がいると、たかが玄関からタクシーまでの移動でも大変なのだと実感する。
それでも、自分が役に立てることが嬉しいのか、父親は上機嫌でタクシーの運転手さんと話をしていた。
ただ、アプリ=GPSだと思っていたり、「ちょっと前」が10年以上前の事を指していたりと、「ああ、父親も年を取ったんだなあ」と少し寂しい気持ちになる。
今回の帰国で、日本に戻ることも検討しようと思っていたので、これを見るとぐっと「日本に戻らなければいけない」に、心の天秤が傾く。
免許センターはすぐ近くなので、15分程で到着した。
免許更新の受付は午前中のみで、既に結構な人が免許センターの中にいた。ここは新しくできた免許センターだと聞いていたが、平屋のきれいな建物だった。
どこに行けばいいか分からないので、とりあえず「①免許更新」の列に並ぶ。
久しぶり過ぎて、更新で何をするのかも分からないが、列の先頭にいる人が、モニターに向かって何かを入力しているのが見えた。自分の番が来て、「暗証番号を2つ入力してください」と言われ戸惑う。
そんなの用意していなかったが、とりあえずいつも使っている暗証番号を入力して出てきた紙を係の人に見せると、「あら、期限が切れているのね。じゃあ、②の受付に入って来てね。」と言われる。
最初から間違っているところに並んでいたらしい。
②番の窓口に行き、事情を話すと、私の様に免許の期限を切らしてしまった人は一定数いるのか、テキパキと確認&説明してくれた。
まずは、更新の時に日本にいなかった事を示す書類。これはパスポートの入出国のスタンプを確認してOK。
次に、今の滞在先を示す書類。戸籍の附表を確認して、ベンチで待っていてくれた父親にもらった書類に記入してもらい、受付で本人確認をしてもらう。
その次は写真と申し込み用紙だ。3種類の書類と「書類の記入方法」を渡され、記入台で記入して、他の窓口で写真を撮りたい事を伝えると、センター内で証明写真を撮れると言う。(もちろん有料で)
渡された「書類の記入方法」は、非常によく整理されていてわかりやすかった。免許のどこを見ればいいのかを色違いのマーカーで示してあり、記入の際の注意点も細かく記載されている。
質問してくる人を減らす目的なのかもしれないが、こんな細やかな準備があるあたりが、やはり日本で素晴らしいと思う。他の国ではない。(多分だけど)
「書類の記入方法」は非常に役に立ったが、久しぶりの日本の書類に四苦八苦しながら記入を終えて、窓口に行き証明写真を撮りたい事を伝えると、証明写真を撮るためのコインを渡されたので、それをもって証明写真機に向かう。
自分で椅子の高さを調整して、ウインドウの真ん中に顔が入る様にして、撮影する。3回まで撮影可能なのだが、何回撮影してもイマイチな写真しか出てこない。
え、これ誰・・・。私?こんな顔してた??
いつも鑑で見る自分の顔とは異なる人物が映し出される。3回撮影したが、結局大した違いは無く、その中で一番マシなものを選択する。機械の外で気配がしたので、他にも証明写真を撮影する人が待っているらしいことに気づき、慌てて外に出た。
再び窓口に戻り、写真を規定の大きさに切り取ってもらい、書類に張り付けてもらうと、書類の準備は完了だ。最初に受付してもらった窓口に戻り、書類がそろっている事を確認した後、視力検査に移る。
最近メガネが合っていない様な気がしていたので、心配していたが、視力検査も問題無く終わり、書類の準備は完了だ。
私はゴールド免許なので、最も短い40分程の更新を受けることになる。書類の受付が終わったのは9時過ぎであったので、両親の所に戻り、隣に座って話をしながら待つ。
日本に来て思うのは、人が集まるところでも比較的静かであることだ。
誰かと一緒で、会話が禁止されていない場所であれば、おしゃべりしたりすることもあると思うが、静かなので会話が筒抜けで、自分たちが他の人の邪魔をしてしまっている様が気がしてしまう。
インドだったらどこでもざわざわしていて、おしゃべりする事をはばかる様な気持ちにはならないし、むしろ聞こえないので、自然と声が大きくなる(笑)
お国柄なのかな。
そして静かな環境になじめなくなっている自分がいて、すっかりインドの人になってしまったのだな、と思うのだった。
10時10分前に、講習を受講するために指定されている教室に入る。入口にいる係の人が「なるべく前に座ってください」と言うので、受講の為にもらっている紙を渡して、広い教室の一番前に座る。
昔だったら、寝ているのがバレるのが嫌だったのか、それとも、つまらなそうにしている顔を見られるのが嫌だったのか、前に座る気にはならなかったが、今はそれも平気になった。
自分でも研修などを実施する身になってみて、前でも後ろでも、つまらなさそうにしている気持ちは結局伝わってしまう事も分かったからだろうか(笑)
教室はかなり広めで、ぎゅっと詰めたら4名ぐらいは座れそうな長方形のテーブルが10台程縦に並び、それが4列もあった。ゴールド免許の今日の受講者の数はそれほど多くはなく、広い教室にせいぜい20名程だったろうか。お盆の週であることも関係していたのかもしれない。
講習の開始時間は10時だが、「全員揃っていますし、早く始めれば早く終わりますので、始めちゃいましょう」と5分程早くに開始。そういう柔軟な姿勢は好きだ。
最初に、受講者に配られる「運転ガイドブック」について少し話をした後、事故が起こる様子をビデオで勉強する。最近はドラレコがあるためか、実際に起こった事故の様子を教材として使っている様であった。
若い頃は怖いもの知らずで、このようなビデオを見せられても、全く実感はわかなかったが、この年になって来ると、たとえどんなに注意していても事故が誰にでも起こりうるもので、自分の人生も相手の人生も大きく変わってしまうものだと分かる。
そして、今まで無事であった事に感謝したくなる。
しかし、そんな真面目な事を考えていても、電気を消して少し暗くした教室で、じっとビデオを見ているとうとうとしそうになる。(笑)
幸い40分程度の講習であったため眠りに落ちる前に研修は終了した。研修の終了間際に、講習の担当者が私に「講習受講済み」の紙を渡してくれた。コロナなので、グループに分けて順番に退出することになっていたが、一番先に退出させてくれた。
ありがたい。
受付に戻り、先ほどの紙を提出して、講習を受講完了であることを知らせる。この後、免許証の写真を撮るので、呼ばれるまで座って待つ。
程なくして名前を呼ばれ、免許証の写真を撮影する。運転する時は眼鏡をかけているので、写真を撮る時も眼鏡をかけたままにしようと思ったのだが、光が反射してしまうため、今回はメガネ無しの写真となった。今はそれでも問題無いのだそうだ。
撮影が終わったら、免許証ができるまで再び待機。
それほど待つ事無く、名前を呼ばれ、新しく作成された免許証を渡される。
ああ・・・・、良かった。免許の更新が終わったあああ。。
そう思いながら、免許証を見ると、ゴールドになっているところになんと西暦が書いてある。(和暦の隣に西暦も書かれていた)
おお!!やはり、和暦じゃ分かりにくいって苦情が多かったのじゃないだろうか。和暦の文化を否定する気はさらさらないが、私は、和暦はカレンダーに記載されていれば十分で、書類に使用される日付は西暦に統一してしまった方がいいと思っている。
さて、今回は「失効した免許の更新手続き」なので、免許はゴールドだが、1年間は若葉マークを付ける必要があるのだそうだ。「更新」と言われているが、手続き上は「新規に免許を取得した」状態なので、初心者扱いなのだと言う。
へえ~、そうなんだ。知らなかった。
全ての手続きを終えて、免許センターを出た時は、まだ11時過ぎであった。色々な事をしていたので、もっと時間が経っていた様な気分であったが、実質は数時間しか経っていなかった。
今日は免許の更新の為にお休みを取っているから、午後は何をしようかな。夕方には、こっちに来ている娘に会おうと思っているが、思いがけず自由な時間ができたのは嬉しかった。
残念なのは、雨が土砂降りになっていたことだったが。
ともかく、一時帰国のミッションの一つが終わったのだった。
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