うつ病彼氏が療養中に読んで、人生を救われた本。三浦綾子著『道ありき(青春篇)』
Nちゃんへ
僕は実家でうつ病の療養中、1日1冊小説を読んでいました。
小説と言っても今の流行本ではありません。朝起きてパジャマ姿のまま、書棚から母親が大学生の頃に読んでいた本を取ってきて読んでいました。なんせ、外に出たくなかったので。
いつものように、順番に本棚から本を手に取り、万年床の上で本を読み始めるとその手が止まらない。一気読みをし、次の日も改めて読みました。
その本が、三浦綾子著『道ありき(青春篇)』です。
僕は、『道ありき(青春篇)』に人生を救われました。
この本は、三浦綾子さんのお若い頃を題材とした私小説です。その中では、教師として働いていた中での敗戦という経験や、当時、死に至る病とされていた肺結核を発病したこと、同じく大病を患う恋人前川正を通じてのキリスト教への目覚め、などが克明に記されている。
僕が『道ありき(青春篇)』を通して、三浦綾子さんに感銘を受けた点は主に2つあります。
1つ目は、自分がどんな状況でも人を喜ばすことを止めなかったこと。
三浦さんの入院していた病室は肺結核患者ばかりということで、いつ死が訪れるか分からないという空気に包まれていました。
そんな中で、彼女はクリスチャンとしてのコネクションを使い、病室に北海道で高名な牧師を招き、定期的に患者さん達にお話を聞かせてあげました。
三浦さん自身も辛いはずです。また、高名な牧師を定期的に招く事にも苦労されたと思います。それでも彼女は人を喜ばすことを止めなかった。
この行動は患者さん達に勇気と希望を与え、数多くの人が信徒になったそうです。
僕は療養中、自分が病気であること、自分が辛いことに胡坐をかいてしまい、人には優しくせず、人に優しくされて当たり前という傲慢な態度を取ってました。
Nちゃん、ほんとうにごめんなさい。あなたの優しさを無下に受け取っていました。
この本を読んでから、どんなに自分がつらくても、人を喜ばすことを心掛けています。
小さいことから。身近なところから。
そして2つ目は、継続して創作することの大切さです。
治る見込みもない病に身を臥し、一人でトイレにも行けない身体でありながら、創作する事を止めなかったことです。
彼女が肺結核になったのは24歳。そこから彼女は前川正と出会い、詩の創作を始め、教会雑誌に寄稿を続けました。
そして、彼女を一躍文学界のヒロインにした『氷点』が発表されたのは彼女が41歳のころ。
彼女のこの創作に対する精神から、人はどんな状態にあっても、また何歳になっても創作をし続けることが出来るということを学びました。
この彼女の不屈の精神が、いま僕をパソコンの前に座らし、文章を書かせてくれています。
僕は、『道ありき(青春篇)』に人生を救われました。
今は療養を終えて実家を出て、東京の寮に戻ってきています。
『道ありき(青春篇)』は今は僕の書棚の中にあります。
さいごに、
Nちゃん、今日もお仕事お疲れさま!最近、徐々に残業する日が増えているようですが、大丈夫かな?無理せず、家ではゆっくり休んでね。
食べることと寝ること。これが一番大事やで!
明日もいっしょにがんばろ~
p.s.
アイキャッチ画像はFU(ベルリン自由大学)の中庭!授業の合間、よくここのベンチでおしゃべりしたね。
担任の先生とばったり会ってニヤニヤされた時は恥ずかしかったです。笑