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整理回収機構と三宮一貫楼⑨

月曜は仕事(三宮一貫楼)ネタ

↑のつづきです。

遂に今シリーズも⑨まで来ました。
前シリーズを越えることが決定(苦笑)

「こんな会社辞めたるわい!」

自分なりには一生懸命しているつもりでした。

真面目に与えられた職務も遂行していたし、
長時間労働にも不満はありながらも
穴を開けることなく詰めていました。

当時の私に欠けていたもの。

それは上司の意向に沿って仕事をするという、
世にいる多くの職業人さんがやられていることを
しなかったということです。

いわゆるこれが甘えですかね。

辞めるという言葉を吐き捨て、
向かった先は荒田一貫楼。

別法人で私たち夫婦で任された小さなお店です。
そこで妻に相談しました。

「あなたが思うようにしたらいいんじゃない?」

と、否定でも肯定でもない返答に「思ったようにしよ。」と、
妙に腑に落ちました。

そして、その場面にとある取引先の社長が
配達で顔を出します。

仮にその社長を畑さんとしておきます。

「おっ、部長(当時の私の役職)ご無沙汰してます!」

「畑さん、どうも。こちらこそご無沙汰してます。」

「ところで前に言うてた件どうですか?いっぺん飲みに行きましょうよ。」

少し調子のいい畑社長にあまり良い印象を
持っていなかった私はお茶を濁した
回答をします。

「いやぁ。この店あるから、なかなか時間が・・・。」

と、なったところで妻が一言。

「大丈夫。行っておいでよ。」とサラリ。

「ほんまですか奥さん!そしたらまたお店とか時間決めて連絡しますわ。」

と私の意向とは別に気乗りしない予定が
決まってしまいました。

畑社長がいなくなってから妻に問い詰めます。

「ちょっと!あんまりあの人と行きたないねんけど。」

「畑さん、あなたの顔見るたびに言うてくれてるやん。私知ってるだけで三回目よ。一回くらい行ってあげたらええやん。店も暇な時期やし。1日くらいなんとかします。」

きっぱりした口調、
そして微塵の言い訳も出来ない正論に
頷くしかできない私(苦笑)

そして、数日後の夜に約束の会食に
なります。

下町にある風情のある居酒屋さんでした。

食材問屋の畑社長らしい素材の新鮮な
美味しいお店でした。

まずは乾杯とビールグラスを控えめに合わせます。

料理のオーダーも全てお任せで
極力カロリーを使わないよう振舞います。

私がこんな状態なので、
盛り上がるものも盛り上がりません。

ボチボチ当たり障りのない会話が
小一時間も続いたころに畑社長が言います。

「会社の調子は大体わかりました。部長個人の調子はどないでんの?」

若干、酔いも回った時の不意打ちのような
言葉に思わず。

私:「いやー。悪いです。最悪。もう会社も辞めたろう思ってますねん。」

畑:「ほぉ。そらまたなんで?」

両親が私のやること全てに反対。
とくに母親からは無能扱いを受けることが多いこと。

会社の窮地に他の道に進まずに来たのに
ひどい仕打ちを受けてるなど。

抱えている悩みを全てぶちまけていたように
思います。

その言葉を吐きだし切るのを見て取った畑社長。

私:「せやから、会社辞めて別のところで修業しに行こうと思ってます。」

畑:「そら~感心しませんなぁ。」

(つづく)

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