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私なりに、「地方創生」を考える

人口減少が地方創生の進展を鈍化させている


都市への人口流出は、少子高齢化を進め、地方経済を脆弱にし、地方創生の進展を鈍化させている。

若者が地方創生には必要不可欠であるが、地方における仕事の魅力が創出されない、地方が若者の生活志向と合ってこないなど、定着させる魅力を想像させないことが人口減少の要因となっている。

そのために、地方の魅力ある事業の創出と地方での仕事の喜びを若い人たちに感じてもらわなければ地方へのひとの流れは造れない。


自然体に地方の魅力を感じ、発掘し、発信する


豊かな自然環境を有する地方は、都会にはない安らぎのある仕事が多い。

魅力ある仕事が自然環境とともに存在するのであれば、若者は必ず共感し、地方に集まってくる。そのためにまず、地方の魅力と発掘をするべきである。



私は滋賀県立大学大学院で<地方創生>という語句を意識することなく、滋賀県で幻の銘茶といわれる政所茶が持つ「伝統」と、それを支える「人々の営み」に心ひかれ、それらが脈々と続いてきた政所町の意義を研究している。

少し触れたら生き物があふれ出るような豊かな土、川や山の間を常に駆ける風、そしてこれら自然の論理を崩すことなく形成と工夫を繰り返してきた「人々の営み」は、独特の深みと体をするりと巡るなめらかな味わいの政所茶を創出している。

それが偶然や皮肉も重なりつつ、約600年変わらず存在し続けた結果、「伝統」として政所町に一層の輝きをもたらしている。

現在、この政所茶とそれを取り巻く生活圏が再注目され、日本遺産にも指定されている。


私の五感を揺さぶり続ける政所の魅力の「根源」を、研究を通して紐解き、発信することが、結果的に<地方創生>を解決することになると考えている。


「価値の多様性」が地方創生を牽引する


あらゆる物事がつながる時代となり、政所茶の独特さの発信が容易になっただけでなく、それを支える営みや自然環境に対するファンが、他の地域、そして国境を越えて生まれている。

さらに、料理人、デザイナーなど他のアイデアと掛け合わさり、「茶」だけにとどまらない価値を生み出し始めている。

様々な生き方が認められる時代の中で、「価値の多様性」が地方創生を後押しする。


さらにコロナ禍をきっかけに、地方にいてもリモートワークで仕事ができるようになってきた。

政所茶といった地域の自然と伝統を有する地域資源を中心に、価値の多様性に合わせて新たな「しごと」を生み出せば、きっと地方は生き返る。

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