メガネ初恋 #毎週ショートショートnote
政府は少子化対策の一つとして、若者の婚姻率の上昇に取り組む事とした。
「現代の若者は、他人との関わりを避け恋愛にも消極的。恋愛促進策を講じ、婚姻率を上げていきたい」首相はこうぶち上げ、ITベンチャーに開発を依頼、「メガネ初恋」というウエアラブル端末が誕生した。
利用者は自身の詳細なデータを読み込ませた「メガネ初恋」を装着し、街に出る。初恋に相応しい相手と遭遇すると、メガネが反応しお互いを引き合わせるのだ。導入にあたり、若者の登録を促す策として、デートで使えるポイントの配布が実施され、登録者は1000万人を超えた。
…その後、5年を経て「メガネ初恋」はひっそりとそのシステムを終了した。多くの若者は、出会いから先の行動に繋げられず、政府が期待した効果は得られなかったのだ。巨大プロジェクトが不調だった事で国会で追及を受けた首相は、ため息混じりに次のような答弁を行った。
「…初恋なんてものは大概叶わないものですから…」
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