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バンドを組む残像 #毎週ショートショートnote

 14歳の夏休み、俺たちは毎日ダラダラと過ごしていた。ある日友だちのコウイチは言った。「バンドやろうぜ!」
 数日後、コウイチは俺たちの溜まり場にドラムセットを持ち込んできた。ヤクザの親父さんに甘えて手に入れたのだ。俺たちが出鱈目にドラムを叩いていると、コウイチの母親がひきつった顔でやってきてコウイチを連れ帰っていった。俺たちのバンド話はそれきりになった。
 9月、学校が始まってもコウイチは登校してこなかった。親父さんが事件を起こし逮捕され、コウイチも親戚の家に預けられてしまったのだ。
 やがて秋も深まり始めた頃、学校帰りの俺が一人歩いていると、一台のバイクがやってきた。ノーヘルで乗っているのはコウイチだ。「ケンちゃん、久しぶり」そう言うとコウイチは、真っ赤な曼珠沙華が咲く土手をバリバリと音を立てて走り去っていった。
 それから俺たちは会っていない。でもコウちゃん、俺は待っているよ。俺たちいつかきっとバンドやろうぜ。

(410文字)

たらはかに様の企画に参加させていただきます。
今回も苦しみましたね。ちょっとショートショートと言うには厳しい…
この話は半分実体験なんです。随分昔の話ですけど。
みなさんの作品、読ませていただきます。

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