ブーメラン発言道 #毎週ショートショートnote
前議員大西博之は、自叙伝「ブーメラン発言道」の出版会見を開いた。大西は次の選挙で捲土重来を期している。登場した大西は自著を紹介し始めたが、長広舌に焦れた記者からは遮るように質問が飛んだ。「タイトルの意味を教えてください!」
「ご存知の通り、私の発言がブーメランのように返ってくる場面が多々ございました…」
総理の脱税を追及してすぐ、自身の納税漏れが指摘された事。大物政治家の不倫を追及した途端、自身のパパ活が露顕した事…。ブーメラン発言は枚挙に暇がなかった。
「今回はこれまでの内情を余す所なく記しました」
…「ブーメラン発言道」は少しだけ話題を呼び、大西はその後国政復帰を遂げた。
だが、しばらくして「ブーメラン発言道」の内容に多くの捏造が指摘され、大西はまたしても対応に追われる事になった。
「いっそブーメラン発言党でも作ればいい!」国民は怒ったが、やがて多くのつけが我が身に飛んでくる事になろうとはまだ気がついていなかった。
(410字)
たらはかに様の企画に参加させていただきます。
尚、登場人物は実在の人物とは一切関係ありません。