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「スラップ訴訟」を学ぶ②水道橋博士を勝手に応援するために

2022年10月7日

 水道橋博士を勝手に応援しています。博士の議員としてのミッションであるスラップ訴訟禁止法制定への機運を盛り上げるため、スラップ訴訟について学んでいきます。
 このテーマでの1回目の記事を多くの方にご覧いただき、水道橋博士さんにもスキをしていただきました。ありがとうございます。歩みがのろいですが、今後も続けて参ります。
 さて、テーマのスラップ訴訟については今まさに進行中の話題があります。れいわ新選組の大石あきこ議員の関わる裁判です。ご存知の方も多いでしょうが、大石議員は、今年2022年3月に橋下徹さんから名誉毀損の訴訟を提起され係争中です。今回新たにジャーナリストの山口敬之さんからもツイッターで名誉を傷つけられたとして、880万円の損害賠償とツイートの削除、謝罪文の掲載などを求める訴訟を東京地裁に起こされました。どちらもスラップ裁判である事は明白です。この件もしっかりとフォローしていきたいところですが、皆さまにはまず2022年9月20日に開かれた大石あきこさんと弁護士の記者会見(れいわ新選組大石あきこチャンネル)の動画をYouTubeでぜひご覧いただきたいと思います。


 さて、今回は「国会議事録を検索してみた」の2回目です。国会議事録検索サイトであるkokalogで「スラップ訴訟」を検索してみたところ、2017年4月20日 第193回国会 衆議院 憲法審査会 における参考人質疑に於いて、沖縄大学客員教授・小林武さんの発言にスラップ訴訟についての言及がありました。話が若干遠回りするので先に書いておきますが、今回の話では実際にはスラップ訴訟は提起されていません。実際には訴訟を起こさずとも、裁判をやるぞやるぞと言って弱い者を締め付ける汚ない手口がよくわかる話です。スラップ訴訟の論点として認識されるべき問題であると思います。
 この日の憲法審査会は、「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件、特に国と地方の在り方(地方自治等)について」というテーマでひらかれました。その中で小林教授は、国と地方の在り方について沖縄と国の例をあげ、とりわけ辺野古埋立をめぐる問題について以下のように発言されています。

沖縄県に対して国がとっている姿勢には、法制度の運用の恣意性が際立っております。事例を限って指摘しておきます。
 一つは、二〇一五年十月十三日に知事が公有水面埋立承認の取り消しを行ったのに対して、直ちに沖縄防衛局が行政不服審査法を持ち出して、国土交通大臣に審査請求と執行停止を申し立てたことであります。国土交通大臣はすぐさま承認取り消しの執行停止を決定し、工事は着手されました。
 しかし、政府がここで用いた行政不服審査法は、本来、行政の違法な行為に対して、国民の権利利益の救済を図ることを目的とした法律であります。それにもかかわらず、国は、あたかも国民、つまり私人に成り済ましてこの制度を使っております。法の悪用ないし逆用と言わなくてはなりません。
 また、今年三月二十五日、知事はいずれ承認の撤回に踏み切ることを明言しましたが、これを受けて政府は、知事個人に対して損害賠償を請求することもある旨表明いたしました。
 こうした訴訟は、現行司法制度が本来的に予定している類型にはなじまないものであります。いわゆるスラップ訴訟が企図されているのではないかと思われます。つまり、首長に高額の賠償という懲罰を与えて、住民の側に立つ抵抗行動を控えさせるという萎縮効果を上げることが目的とされているのであります。しかし、国がこうした手法をとることは、地方自治を機能不全に追い込むものであって、許されるものではありません。
kokalogより

国が法を悪用し、法が本来的に予定している類型を逸脱して地方自治体の首長を個人として損害賠償請求の対象として訴える。まさに安倍政権以降の強権的なやり方です。この行政不服審査法の悪用については、東京弁護士会も批判する声明を出しています。

今回の事例を見る時、スラップ訴訟というものが、民主主義社会に非常に害をもたらすものであると感じます。特に国や政権与党など強大な権力を背景とするものが、国民を締め付ける手段として用いる時、言論は封殺され自由は剥奪されていくことにつながります。国の手を縛るものは憲法なのでしょうが、現在の政権は憲法をないがしろにし地方自治を否定しています。スラップ訴訟禁止を求める運動は、このようなやり方とも対峙していくものとなるでしょう。

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