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【デジタルバレンタイン】のお題で、【SFチックな】ショートショート #毎週ショートショートnote

 国際的チョコレートメーカー、ディーバ社のレセプションでは、CEOによりあるプロジェクトの説明が始められていた。
「チョコレートによる感動を未来に残したい。プロジェクト「デジタルバレンタイン」計画を始めます!」その後は技術者達が計画の概要を説明した。「食感と美味しさを数値化」「3Dスキャンで精緻なレプリカを作成」「3Dプリンターで再現可能に」…
 最後にCEOは誇らしげに言った。「これで100年後も現代のチョコレートを味わえるでしょう」
 それから100年後。博物館では、子どもたちの授業が行われていた。テーブルには、美しいチョコレートが幾つも並べられ、教師は言った。「これは100年前のレプリカ。残念だけど食べられないの」教師は続ける。「地球温暖化の授業はこの間やったよね。チョコレート原料のカカオも温暖化で絶滅してしまった。もう昔のようなチョコレートは作れない」生徒の一人はつぶやいた。「残したいものを間違えたんだね」

(410文字)
たらはかに様の企画に参加させていただきます。SFチックというにはちょっと無理があるかな。



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