ごはん杖 #毎週ショートショートnote
「新作のアイディアなんだが、構想中のがあるんだ」漫画原作者の千田は、編集者の西野に向かい、身振りを交えて話しはじめた。
「最近は座頭市のような作品が無いじゃないか。そこで考えたんだよ。仕込杖を使う主人公をね」
西野は待ってましたとばかりに手を打って応えた。「さすがセンセ、目のつけどころが違います!それでその主人公はどのように敵を倒すんですか?」
千田は答える。「いやいや、倒さないんだよ。仕込杖で打ちはするんだが、この男は相手に寄り添って手を差し伸べるんだ」
「さすがはセンセ、今にふさわしいヒーロー像です!」
「そうだろ!この主人公はねぇ、杖の中に仕込んであるごはんを与えて『これでも食べて元気をだしな。お前さんはきっとやり直せるさ』と言うんだ。この杖を『ごはん杖』と言うんだよ」
「センセ、もう絵が浮んできますょ」…
二人の様子を横目に、若手の編集者住吉は心の内でつぶやいた。「それってほとんどアン◯◯マンのパクリじゃんか」
(410文字)
たらはかに様の企画に参加させて頂きます。
ごはん杖…難題でしたね。
皆さんの作品を楽しみに読ませていただきます。