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初めての鬼 #毎週ショートショートnote

 その島は豊かな森と白浜がある美しい島であった。森には果樹が数多くあり、誰もがその実を手にする事ができた。浜では海藻や貝が拾え、一度網を打てば多くの魚を獲る事もできた。島民たちは、穏やかな暮らしを享受していた。     
 島の存在は徐々に世に知られるところとなり、島民を脅かすよそ者が侵入することが多くなった。「不逞な奴らから島を守らねば」島民たちは話し合ったが、武術の心得がある者もいない。やがて島の長老が口を開いた。「神社に島の守護者であった古代の武人の面がある。恐ろしい形相をした面だ。あれを使わせていただこう」
 その後の侵入者たちは、目の前に現れる凄まじい形相の鬼に怖気付き、早々に島を逃げ出す事となった。島の平安は永遠に保たれたかと思われた。
 
 島に初めての鬼が現れてから20年後、島は凄惨な殺戮の場と化す事となった。桃太郎を名乗る若者が率いる一団が島を襲ったのである。
その島は現在、鬼ヶ島と呼ばれている。


たらはかに様の企画に参加させていただいています。

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