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夜からの手紙 #毎週ショートショートnote

 ある大店の若旦那。ある日遊廓に初上がりし、つい調子に乗り花魁の機嫌を損ねてつまみ出されてしまいました。不貞腐れ帰る道すがら、どこからか「おいで、おいで」と呼ぶ声がする。若旦那はそちらへと歩いて行きました。
 翌朝戻った若旦那、倒れるように眠ってしまいました。番頭がその懐を確かめるとぬらぬらの手紙が一通。そこには「今宵もお待ちしております 河津太夫」とある。
 やがて夕暮れ、若旦那はむっくり起き上がり、川沿いの道を歩いていきます。番頭が後をつけると、ふらふらと草むらの中へ。これは大変と追いかける番頭。すると若旦那の前にはランランと光る目の巨大なガマが。若旦那は恍惚として「今宵もお前はあたしのもの…」と言い、ガマに抱きついている。
「化け物めが!」
 番頭が棒で打ち据えると、ガマはぐうと一鳴きして逃げていきました。番頭は若旦那を抱き起こすとこう言ったのでございます。
「しっかりなさいませ。今夜は「かわず」に帰りましょう」

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