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narukuni
人生は洗濯の連続 #毎週ショートショートnote
5歳の僕は、毎晩おねしょをして叱られていた。ある日母は僕に洗濯機の使い方を教え、そのまま家を出て帰ってこなくなった。
僕は16歳で強豪校の野球部に入った。だがレギュラー陣のユニフォームを洗濯する日々ばかり続いた。
やがて就職した僕は、洗剤のセールスマンになった。そこでは学生時代の経験が活き、トップセールスマンになれた。
僕は職場の同僚と30歳で結婚した。家庭を顧みず仕事に打ち込み、やがて妻は口をきいてくれなくなった。僕は自分の為だけに洗濯をするようになった。
40歳で離婚し、慰謝料を払う為、給料のよい会社に転職した。だがそこは暴力団のフロント企業で、資金洗浄の片棒を担がされた僕は、ある日逮捕され刑務所行きとなった。
50歳になった僕は模範囚として高齢受刑者の世話を任されている。彼らが汚した下着を洗濯して干す毎日。
いつかこの身をすすぎ終えたら、広い空の下で真っ白なシャツを干してみたい。今はそれだけが望みだ。
(410文字)
たらはかに様の企画に参加させていただきます。