無人島生活福袋　#毎週ショートショートnote

　男は日々の暮らしに飽き飽きしていた。休日も散歩ぐらいしかやることはなかった。その日も街をぶらぶらと歩いていたが、知り尽くしたはずの街なのに見覚えのない通りに出た。
　ふと見ると何かの抽選会を行なっている。近寄ると白髪の老人が声を掛けてきた。
「今なら誰でも参加できますよ。ガラガラを回してみなさい」
言われるままに回すと、抽選機から赤色の玉が一つこぼれ落ちた。「大当たりだ」老人はベルを鳴らし、男に賞品を手渡した。袋を開けると一枚の紙。そこにはこう書かれていた。
『貴方には
「驚きと発見が続く生活」
「生きる喜びに溢れた生活」
「静かに自己を振り返る生活」が待っている』
男はそのまま気を失った。
　男が目を覚ました時、そこは見知らぬ海岸だった。波の音だけが響き、夜になると周囲は真暗闇、満天の星が煌々と光を放った。何故こんな所に来てしまったのか…。その時、遠くで微かな爆発音が響き、閃光が見えた。男はただぼんやりと空を見上げていた。

（410文字）

たらはかに様の企画に参加させていただきます。ギリギリだけど。