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だんだん高くなるドライブ #毎週ショートショートnote

 駅へと向かう車中で、男は運転席の女に話しかけた。
「もう一度この通りを走ってくれませんか」
女は小声で返事をすると駅前ロータリーを回り目抜き通りを逆方向に走り出した。
「出会って2週間。少しは僕のことをわかってくれたかな?」
女は曖昧な笑顔を浮かべた。
「初めて会った日、一緒にいられたのは10分だけ。でも僕には運命のような気がした…」
やがて車は目抜き通りの端に到着、男はUターンしてほしいと告げた。
「少しでも長く一緒に居たい…」
 しばらくして、車は再び駅前に到着した。男は再度目抜き通りを戻ってほしいと伝えたが、女は静かに微笑み、待機スペースに車を止め男に語りかけた。
「お客様、何度もご指名の上、だんだんと長い距離をご利用いただきありがとうございました!」
「いや、お客様なんて他人行儀な…」
男を遮り、女性運転手は言った。「料金は25,000円です!」

 去ってゆくタクシーを男は淋しく見送った。その時、テールランプが5回点滅…。
(410字)


たらはかに様の企画に参加させていただきます。

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