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記憶冷凍 #毎週ショートショートnote

 大手町博士は、長年記憶のメカニズムについて研究を重ねてきた。そしてついに研究の成果を世に問う日がやってきた。
「このサプリAを飲めば、人は短期間で知識を自分のものにでき、学習に時間をかける必要はなくなる。次にこのサプリBを飲むと、脳内知識の優先再生が可能となる。これから人類は冷凍食品のように知識を蓄え、必要に応じ解凍し利用できる。これが「記憶冷凍」です」
「エビデンスはあるのか?」記者の質問が飛ぶ。
「被験者からは、司法試験合格者を輩出している」
そこで一人の記者が遮るように言った。
「我々の調査では、被験者はいずれも試験後際限なく喋り続けるなどの障害が出ている」
博士が言葉に窮していると、一人の若者が壇上に現れた。
「博士の孫で脳科学者の正太郎です。この発明は忘却プロセスを無視したもので問題があります。それにおじいちゃん、これからはAIの時代で知識偏重の時代はもう終わるんだよ」
大手町博士は孫に肩を抱かれ退場していった。

(410文字)

たらはかに様の企画に参加させていただきます。このテーマでこの展開はもしかしたら発想がかぶるかもしれませんね。


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