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kyu3a
ドローンの課長 #毎週ショートショートnote
ドローン操縦の腕を見込まれ公安にスカウトされた俺は、痩せた体にメガネをかけた風采の上がらない見た目から「ドローンの課長」というコードネームを与えられた。それからはドローンを使った秘密任務に勤しむ日々。夜間飛行による情報収集や、雑踏の上空を飛ぶ要人警護、機密文書の投下や回収…。神経をすり減らす仕事ばかりだ。
大空に飛び立つドローンは、一見とても自由に見える。だがそれを操る俺の心は深く沈んでいくばかりだった。退職願を出し自由の身となった俺は、自分に新たな任務を課すこととした。
青空の下、小型ドローンが揺れながら上昇していく。街路樹のてっぺんに引っかかっている帽子に近づいてゆく。ドローンに取り付けた棒に帽子を引っ掛けて取り、下降すると、持ち主の女の子が歓声をあげて待ち構えていた。「課長さん、ありがとう!」今日の仕事、強風に飛ばされた帽子の回収が終了した。そう、俺の新たな任務は、街の便利屋「ドローンの課長さん」だ。
(410文字)
たらはかに様の企画に参加させていただきます。今まさに無人攻撃に使われているドローンもあります。テクノロジーの進歩が、人間の幸福に繋がっていない悲しい現実。私はこんなお気楽なショートショートを書いていてよいのだろうか。