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顔自動販売機 #毎週ショートショートnote

 万里はうまく笑えない。そんな万里が同じ高校の男子に恋してしまった。笑顔で「付き合って」なんて言えるわけがない。
 ある日の帰り道、街で顔自動販売機という物を見つけた。そこで売られているシートを顔に装着すると、素敵な笑顔になれるという。高額だったが小遣いをはたいて購入してしまった。
 友達に頼んで彼を呼び出す。出かける前にシートを装着、鏡に向かうとうまく笑えた。告白もうまくいき彼との交際が始まった。デートの日はシートで顔を作ってから出かける。親密さはどんどん増していった。

 だがある日、万里は自分の思いに気づいてしまった。

 次のデートの日。万里はシートを使わずに出かけ、デート終わりに彼に全てを話す事にした。
「顔自動販売機って知ってる?」彼は硬い表情で答えた。「いつか話そうと思ってたんだ…」
…その後の彼の言葉を、万里はこの先もずっと覚えているだろうと思った。彼のぎこちない表情と、そんなぎこちなさが愛おしく思えた事も。

(410字)


たらはかに様の企画に参加させていただきます。
今回も難しかったです😵

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