朝の逆転 (バレエショートショート)
愛野藍は、起床後に簡単なストレッチ、洗顔後はI字バランス。それから廊下にあるバーで身体をほぐす。それが朝の日課だ。しかしルーシが来て崩れた。ルーシは3歳。先週から叔母のウクラの出産に伴い預かっている。
懐かれるのはいい。しかし自主レッスンができない。ママに預けると泣きわめく。
「藍、あなたの妹だと思って優しくしなさい」
ルーシにしがみつかれたまま、ストレッチはできない。
「ルーシ。私の真似をしてごらん。一緒にやろう」
藍は生徒の立場から先生の立場になった。結構面白い。しかもルーシは身体が柔らかいのですぐに新体操の子なみのことができるようになった。レッスンから帰宅するとルーシが完璧なグランジャンプで突撃して「おかえりい」と抱きつく。
「ママ、ルーシは私より才能あるかも」
もしかしたら朝から逆転してルーシから教えを請うようになるかもしれない。今もルーシは焦る藍の横にいて、後ろカンブレで足の合間から顔をのぞかせて笑う。
了
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※ 画像はピンタレスト、knees さまよりお借りしました。ルーシちゃんのイメージです。
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