某著名バレエ団にて。
クラスレッスン時、期待の新人が棒立ちになって泣き出した。フェッテをすると、笛の音が聞こえるという。
ぴっ ぴっ ぴっ
ダブルを入れると
ぴぴっ ぴぴっ ぴぴっ
鏡前にいたプリマと監督が顔を見合わせ、新人に近寄り話しかけた。団員たちに緊張が走る。
「その笛の音は笛ッテ注意報といって、誰にでも聞こえる音ではない。団の創始者は、当時現役で音ずれの訂正と呼吸を整えるため自ら笛を咥えて吹きながら踊っていた。音源は不明だが怖がることはない」
プリマは新人に問うた。
「いつから笛の音が聞こえるの」
「昨日から」
「そう…私は逆で昨日から聞こえないの」
監督が優しくプリマの肩を抱き、その場で配役を新人と交換した。
「次の舞台から君が主役だ」
驚く新人に監督は説明を加える。
「故代表は死してなお団の繁栄を望んでいる。元プリマは今後は映えある女王役だ」
その場にいた全員が新プリマに敬意を示してレヴェランスをした。
」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
たらはかに様の企画に参加しています。
※参考※
下記はバレリーナ、ナタリヤ・オシポワさんのフェッテばかり集めた動画です。(約6分)
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