スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん~ #97
こちらの続きです
『善意』①
フェルグロウ砦からウィンターホールド大学に戻ってきました。ウラッグさんに本を渡すため、アルケイナエウムへ向かおうと正面扉を開けると、元素の間の中央にサールザルの深部で発見したあの球体が浮かんでいるのが見えました。
驚いて元素の間に入ると、人々が集まって球体を見上げていました。
「アークメイジが大事だと考えている。さぞかし強力なものに違いない」
どうやらサボス先生とトルフディル先生が協力してここまで持ち込んだようです。そんなことができるのですね。
ウラッグさんによれば、今サボス先生はアンカノさんと部屋で何やら緊急の話し合いをしているようですが…サルモールも絡んでいるということで、心配です。
ミラベル先生によって解散させられ、みんなが持ち場へ戻り始めました。ウラッグさんを引き留めて本を見せると、
「これはこれは。お前自身も無事で何よりだ!」
と喜んでくれました。
ウラッグさんはこれから本を読みこんで、この球体との関連について見つけ次第ミラベル先生に伝えてくれるそうです。きっと私よりも知識を多く携えているはずですので、さらに深い分析が出来ることでしょう。
「”涙の夜”だな?この本の事は忘れないさ。面白かっただろう。読んでみたか?確か、興味深い暗示が記されているんだ。トルフディルに知らせておいた方がいい」
やはりウラッグさんはすでに内容を把握していたようです。
ウラッグさんは大事な本を奪還した報酬として、6冊もの希少な本をくれました。どれも読むだけでスキルの上げられる素晴らしい本です。ありがたく頂きました。
トルフディル先生も元素の間に留まっていました。球体をじっくり観察していたようです。
トルフディル先生に書籍『涙の夜』の話をすると、ハッとして言いました。
「それはサールザルの地下に埋められていたものなのか?その昔、人類とエルフが戦っていたという?」
あくまで仮説ではありましたが、サールザルの地下にこれが存在していたことは事実です。
「もう一回しっかり読まなければいけないだろう…もう詳しいことは忘れてしまった」
トルフディル先生は自嘲的な笑みを浮かべ、そしてまた球体へと目を向けました。
「なぜだかわからないが、どうもここを離れることが出来ない。こんな美しいものは今まで見たことがない…もし少しだけ好きなようにさせてくれるのなら、観察してみたいのだが…」
先生は私の返事を待たずに球体へと歩み寄ります。この異様な存在によほど心を奪われているようです。
「アイレイド、ドゥーマー、デイドラ… ファルメルでさえもない。どの種族も合致しない。実に興味深い」
どの種族にも合致しない?個人的にはドゥーマーに関係しているのかも、と思っていましたが、トルフディル先生の学術的な見立てによると違うようです。
「この素晴らしい物体…魔法を放射しているも同然だ…こんなものは見た事がない…」
球体の周りをぐるぐると歩き回りながら、あらゆる角度からの観察を試みています。
「アークメイジのアレンはすでに懸命に取り組んでいる。早くもう少し解明できるといいのだが…」
球体を見上げながらつぶやくトルフディル先生の背後に、突然アンカノさんが近づいてきて声をかけました。
「失礼ながら口を挟ませていただきます。この見習いと早急に話をする必要があるのです」
トルフディル先生は怒気をこめて「なんと愚かな!」と𠮟りつけました。
「重要な研究の最中だぞ!」
「ええ、もちろん重要でしょうとも。しかしこの件は後回しにできません」
「こんな形で中断されるなど初めてだ…なんという厚かましさ!」
トルフディル先生がこんなに怒っている姿は初めてです。しかしアンカノさんは怯むことなくじっとその場に佇んでいます。
「…それでは、邪魔が入らないときにこの続きをやるとしよう」
先生は釈然としない様子ながらも、私にそう優しく言うと、その場を立ち去りました。
「いますぐ私と来てくれ。行くぞ」
気まずい空気を無視して、アンカノさんが私に向かって言いました。
「一体何が起こっているんですか?」
「そうか。では状況を説明しよう。サイジック会から来たと名乗る人間が、なぜこの大学に現れたのか知りたい」
「むしろ重要なのは、なぜ彼が君を名指しして探しているかだ」
サイジック会の人間で、私を指名しているということは、おそらくサールザルで現れた、エネリンさんではないでしょうか。
「よって我々はこれから彼と少し話をして、一体何がしたいのかを聞き出す」
サイジック会。サールザルから発見した球体。涙の夜。エルフの組織サルモール。
「…あなたもそれに立ちあうのですか。ここでは単なる顧問では?」
警戒心を隠すことが出来ません。
「名目上はそうなるな。だが私もアルドメリ自治領に報告を行う立場にある。この状況を見過ごすわけにいかないのだ」
結局、公然たるスパイというわけですね。
「心配しなくてもいい、この一件が片付いたら、くだらん仕事と意味のない研究に戻ってくれてかまわん」
嘲笑するように言い捨てると、背中を向けて行ってしまいました。これが本音ということでしょう。アンカノは冷静に見えますが、大仕事を前に建前も捨て去り、かなり前のめりになっているようです。
「…どうするの?」
「そうですねえ。行くしかないでしょう」
アラネアさんは心配そうですが、最古かつ最高峰の魔術師団の一人がわざわざ私をご指名ということですから、ここで逃げるわけにいきません。
この球体と出会ったときから、いや、この大学に入ろうと決めたあの時から…むしろ、ゴールドールの伝説を追い始めたあの日から、事は着々と進んでいるのです。もうなるようになるしかないでしょう。