スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん~ #84
こちらの続きです
子供たちと会うため自宅に帰ると、くつろぐサミュエルとキツネと遊ぶドルテが子供部屋で過ごしていました。プレゼントしたおそろいの服もかわいらしいです。
サミュエルは笛を吹いたり、床でごろんとくつろいだり、ドルテが見せた事のない行動をとるので新鮮です。個性があっていいですね。ソリチュードにもすっかり慣れたようで、私の顔を見ると「大きくなったら帝国兵になりたい!」と訴えてきます。周りにあこがれの大人を見つけられたのなら何よりです。
さて、家を出ればクマ狩りのために野山を駆けまわる毎日です。これまでも様々な場所を渡り歩いてきましたが、スカイリムはまだまだ私の知らない土地ばかりだと実感します。
そして今日も新たな村を発見しました。オーク要塞、ナルズルブールです。
ナルズルブール
要塞の門を開けて中に入るとすぐ、見張り用のやぐらの近くでヤツールという女性のオークが何かぶつぶつとつぶやいています。『マウフラク』という人物が、ボラーと自分だけで十分なはずなのに、女にうつつをぬかしている、とかなんとか。
「聞き苦しいのは分かっている。ただ本当にマウフラクを愛しているからこそ、共に幸せでありたいのだ」
皮なめしをしている女性を見つけました。彼女もまた「マウフラク」のことについてぶつぶつつぶやいています。
「何度も中を読んだけど、なぜマウフラクの妻たちが絶えず悲劇に見舞われるのか見当もつかない…」
「すみません。オーク要塞に来るのは初めてでして、色々とあなた方について教えていただきたいのですが、よろしいですか?」
「ああ、いいぞ」
オークの女性は”ボラ―”と名乗りました。
「我々はノルドがやってくる前からスカイリムで暮らしてきた。誰もがひたすら一族の力を強くするために尽くしている。その中で最も優れた勇者だけが一族を導き、結婚することができる。偉大な族長は多くの妻を娶り、勇敢な子供たちを育てるのだ」
彼らは一夫多妻制で、しかも一族の中で最も優れた者だけが結婚を許される、と。なかなかハードな生存戦略をとっていますね。
そこからヤツールさんのつぶやきを思い出すと、この人もヤツールさんと共に”マウフラク”という一族で最も優れた男の妻という立場にある、ということが推察されます。
「族長達を産んだ女が私のような賢女だ。一族を導き、どんな事をすればマラキャスがお喜びになるのか、一族に助言を与えるのさ」
賢女とは、巫女的な存在ということなのでしょうか。
「マラキャスとは?」
「我々の想像主にして師。結ばれし誓いと忌まわしき呪いを司るデイドラの王さ」
「有限実行こそ名誉、それがマラキャスの教えだ。敵からは血を、味方からは力を得るために。あの方は全てのオークを我が子同然に見守っておられる。要塞を出て行った者はすぐに真実を忘れてしまうがね」
マラキャスというデイドラ王を信仰するオーク。結婚制度からして独自の文化を構築しているようです。要塞を出て他の街で他の種族と共に暮らすオークたちは、また違う道を進んでいるのでしょう。
ウログという女性が人形相手に剣の訓練をしています。鬼気迫った表情に何事か尋ねると、不機嫌そうな声で話してくれました。
「私の兄弟が、父と叔母たちについてのくだらない噂を渡しに吹き込もうとしている。どうかしているよ」
「時々、父に関して叔母たちが正しいのか疑問に思う。父が弱く思えるのだ」
勇ましいオークの女性、ウログさん。彼女は家族に関して何か複雑な思いを抱いているようです。当然彼女の父と言えば族長以外いません。オークの族長といえば、一族で最も優秀とされる男性であるはず。そんな父が弱く思えるだなんて――何か一族の中で不穏な空気が流れているようですね。
長屋の前で座っている男に声をかけました。重装備で柄の長い斧を背負っています。
「ナルズルブールの偉大なる牙城へようこそ。よそ者よ」
彼こそが女性たちが話していた、『マウフラク』族長でした。
「黒檀をお求めか?我らがグルームバウンド鉱山には太く黒い鉱脈が通っている」
「へえ、そうなんですね、それは珍しい。あなたが族長ですか?」
「そうだ、一騎打ちで父親を殺して、その資格を勝ち取ったんだ」
「父親を?」
どのように族長を決めるのかわかりませんでしたが、まさか父子一騎討で命を奪い合うとは。
「いつか息子を持ち、私が歳を取って統率できなくなったら戦いを挑んでくるだろう。そうしてこの要塞にはまた新たな族長が誕生するのだ。その時までは、私だけに妻と子供を持つ権利がある。それで我々の強さが保証される」
オークは男性が妻や子を持つ権利を巡り、親族同志で血を流し合いながら生き残ってきたのですね。子が父を殺し、姉や妹を娶る…こちらの常識に置き換えるとなかなかにおぞましい世界に思えますが、これもまた文化の違いというものなのでしょう。実際にそれで彼らはオークという強靭な血を守り続けているのです。
それにしても憎しみが蔓延しそうなシステムなのですが、彼らがどうやって絶滅せずに生き残ってきたのか気になります。
「オークはどのように統治しているのですか?」
「マラキャスの掟というものがある。要塞の伝統であり法律だ。掟に違反すれば、血の代償を払わなくてはいけない。掟はどこにも書かれていない。オークによって受け継がれ、要塞に住む者はその掟に従っている」
うーん、すべては”力”で解決されているようです。
「要塞に何か仕事はありますか?」
興味本位で訊いてみると、マウフラク族長はにやりと笑ったように見えました。
「試練に挑戦するのはどうだ?相手になってやる」
そう言いながらごつごつした拳をかざして見せました。
私が女性だと思って油断していますね。受けて立ちましょう。
武器を下ろし、素手での殴り合いです。
さすがオーク要塞の族長、そんじょそこらのならず者とはわけが違います。かなり時間はかかりましたが、なんとか膝をつかせることが出来ました。
「オークの族長である私に勝ったのだ。見事なものだ」
たしかに勝ってしまいましたが、大丈夫なのでしょうか。威厳とか、色々と。
デイドラ王マラキャスの掟に従い生活するオーク要塞。オークとはこれまでも会話を交わす機会がありましたが、その種族として古来から守られている文化は「いかに優秀な遺伝子を残すか」ということに特化した独自のものでした。それを可能にするのはオークという種族の培った特性によるところが大きいのでしょう。
まだまだ私の知らないことがたくさんあります。これだからどれだけ戦闘への恐怖が薄れたとしても旅をやめられません。
もっと話を聞いてみたいところですが、ファルカスさんに大量のクマの毛皮を持たせたまま歩き回るのも悪いので、黒檀が採れるという鉱山の見学はまた今度にします。
要塞を出て周囲でクマの捜索をしていましたが、鉱山の近くだからか鉱石が多く見つかりました。思い立って鉄の鉱石につるはしを当ててみると、なんと傷ひとつない美しいサファイアを見つけました!
リフテンの宝石職人であるマデシさんが宝石の材料として求めていた素材を旅の道中で色々と集めていましたが、上質なサファイアだけはなかなか見つからず時間がかかっていました。
しかしこれでやっとすべてが揃ったわけです。クマ狩りを切り上げ、リフテンに向かうことにしました。
リフテン
リフテンに着くと夜に差し掛かっており、店じまいをしたマデシさんがプラザを出てくる所でした。
「マデシさん!見てください、このキズのないサファイア!」
「素晴らしい。指輪にうってつけのサファイアだ」
マデシさんはサファイアをじっくりと見つめ、深く頷きました。材料として使えると認めてもらえたようです。
「他に必要なものはありますか?」
「いや、十分そろったよ。さあ、これをあげよう。せめてもの感謝の印だ」
マデシさんは手間賃のゴールドに加え、美しい金の首飾りを渡してくれました。
それはサクスリールの伝統的な宝石職人による、玉石と金を組み合わせた実に素晴らしい意匠の首飾りでした。
「ありがとうございます。大事にしますね」
失われつつあるというサクスリールの宝石職人の技術。この先、彼のような腕のいい継承者が現れるよう祈りましょう。