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スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん~ #96

こちらの続きです


『猛勉強②』解決編


 さて、本を取り返すため遠征へ向かうことになりましたが、どうも支給されているローブでは狩りに不向きなため、自室のタンスにしまっていつもの装備を身に着けることにしました。

ぱたん

 やっぱりこれが落ち着きますね。

ふ~

 部屋を出ると、級友のダークエルフの女性、ブレリナ・マリオンさんが妙に尖った声をかけてきました。
「ウィンターホールドにはかつて私の種族が大勢いた。彼らが皆去って行った事はどうでもいいの」

急に何?

「質問されるのにはもううんざりなの。ここに来たのは学ぶためであって、自分のことを何度も説明するためじゃないから…」
「すみません、何の話ですか?」
「あ、ごめんなさい。決めつけるつもりはなかったの」
 何かよほどうんざりしたことがあったのでしょう。目につく相手すべて敵に見えてしまっていたようです。
「いえいえ。よければお聞かせください。ウィンターホールドには昔、たくさんのダークエルフがいたのですか?」
「知らなかったの?」
 ブレリナさんは私の無学に対し心底驚いたようで、黒い目を丸くしました。
「オブリビオンの動乱の前は、多くのエルフがウィンターホールドを故郷と呼んでいた。毎年多くの者がモロウウィンドから大学に来ていたわ。その後、魔法への不信が高まり、多くの者は肩身が狭くなったの。一部の者は、ノルドの高まっていく憎悪に耐えるより、去ることを選んだわ。他の者は赤い年の後、つまりヴァーデンフェルで噴火が起こり、大きな被害を受けた後で故郷へと戻っていった。今じゃウィンターホールドは、死んだも同然。残っているのは形だけ。機能しているのは大学くらいのものね」

ほほう

 この話を聞くと、ウィンターホールド要塞がかつてのように復興できないのは、大崩壊の傷跡だけではなく、ダークエルフに対するノルドの迫害によるところも大きそうですね。多様な人種の優れた人材の流出、単純な人口減少、格差とヘイトクライムによる治安の悪化、経済の停滞。様々な要因が複雑に入り組んでいますが、しかしすべては『オブリビオンの動乱』や『赤い年』、そして『大崩壊』。それらによって取り返しのつかないところまで瓦解していったようです。

 話しているうちにブレリナさんの剥き出しだった敵意は薄まってきました。
「ブレリナさんは、この学校は好きですか?」
「今のところはね。理由は、偉大になれだなんて誰も言ってこないからだけど」
 いまいましそうに言いながら、すこし寂し気です。
「ただ学びたいだけで、何を期待されてるかなんて別に知りたくないの」
 ブレリナさんは魔術師の家系に生まれた人なのでしょうか?色々と訳アリのようです。

 色々と話しているうちに、アンカノさんのことが話題に上がりました。
「嫌な目つきでこっちを見るのよ。暴発事故を起こして吹っ飛んでしまえと思っているのか、自分が殺されると思っているのか。ここの者を誰も信用してないのは確かね」

ちょっと被害妄想強くない?

 ブレリナさんはなかなか気が強く色々と勘繰りするタイプみたいですが、勤勉家であることには変わり在りません。ここに入学してくる人たちは真剣に魔術師として大成しようとしています。
 級友たちと会話するたび、なんだかただの付き添いで来てしまって申し訳ない気持ちになってしまいました。


フェルグロウ砦 

 勤勉とはいえない私ですが、個別に出された課題はこなします。
 というわけで、フェルグロウ砦やってきました。ここにオーソーンが取り入るため本を持ち込んだという魔術師の一団が潜伏しているそうです。
 ウィンターホールド大学から追放された魔術師たち。一体何者なのでしょう。

来たぞ

 砦の外では魔術師や炎の精霊が見張りとして攻撃をしかけてきました。中に入ると蜘蛛を飼いならしていたり、破壊術、死霊術、召喚師…様々な魔術師が襲い掛かってきました。砦の内部は広く入り組んでおり、研究施設としても居住空間としてもかなり充実した設備となっています。
 ここを拠点に本格的な研究や実験を行っていたようですね。
 
 檻が多数ならんでいる場所に出ると、中には吸血鬼が三人、別々の檻に囚われていました。こちらに対しては敵意を向け、助けてもらおうとは考えていないようです。

おこやん

 隣の部屋にコンジュ―ラーの気配があったので、思い付きで牢を開けるレバーを下ろすと、全員飛び出してきました。そのまま隣室へ飛び込んでいき、戦闘が行われました。

いけいけ
「いたたっ」って

 戦闘が収まり、中に入ると、実験に使われたらしい吸血鬼の遺体や遺灰を多数見つけました。飛び散った血肉に腐臭。おぞましい現場です。
 どうやら吸血鬼を何らかの研究に用いていたようですね。いくら吸血鬼が脅威とはいえ、たしかにこのような所業は大学で認めるわけにいかないでしょう。

ぐえー

 さらに奥へ進むと、オオカミが閉じ込められている檻が並ぶその一つに、ローブを着た男が入っていました。男は私を見ると鉄格子を握って必死に叫び出しました。
「お願いだ!頼むから出してくれ!」

おん?

「ここから出してくれ。奴らにひどい目にあわされちまう!そこにレバーがある。ちょうど真ん中の所だ。また誰かが来る前に、急いで頼むよ!」
 たしかにレバーがあります。言われた通りに真ん中のレバーを倒すと、男の牢屋が開きました。

がこん

「おお、あんたは命の恩人だ!ありがとう。来てくれなかったら、奴らに何をされていたか分かったもんじゃない」
 男は心底安心したようで、「ここから出る手助けをするって約束しよう」と意気揚々にのたまいました。
「そんなのはどうでもよくてですね。あなた、オーソーンさんですよね。さあ、大学から盗み出した本はどこですか?」
「ほ…本だって?」
 オーソーンはぎくりとして立ち止まりました。
「ああ、わかった。多分…そうか、あんたは俺を助けにきたと思ってた」

ちゃうで

「だがそうか、本か。召喚者が持ってる。その中の一冊に特に関心があるみたいだった。けど、俺を閉じ込めておくのは忘れなかったらしい」
 どうやら召喚に使う本として狙っていたものを、オーソーンを利用して持ち出させたようですね。
「わかりました。取りに行くしかありませんね。あなたは安全な場所に逃げた方がいいですよ」
「え、助けはいらないか?」
 どうやらオーソーンはその召喚者の居場所に心当たりがあるようです。危険そうですが、その気であるなら協力してもらいましょう。借りを作って大学に戻ろうという魂胆なのかもしれませんが、利用できるならお互い様です。
「では、道案内をお願いします」
「全力を尽くすよ」

よろしく

 オーソーンは敵の魔術師相手に炎の精霊を召喚したりとなかなか好戦的です。これならそこそこ足手まといにはならずについてこれるでしょう。

アラネアさんの魔法もあってにぎやか

「この先が地下室だ。うへえ、死霊術師どもだ。気をつけろ」

ほう?

 死霊術といえばアンデッド。せっかくですからジェイ・ザルゴの試作品をここで試してみましょう。火炎マントはアンデッドに対して効果的なはずです。

どれどれ

 棺から次々と出てくるスケルトンに向かって、火炎マントの巻物を使うと…

!?

 あ、熱!!!!!!!!!!あちちちちちちち!!!!!!!

燃えてる!私事!!

「大丈夫か!?うわ!あつ!何をする!!!」

 炎は私を中心にしばらく燃え続け、近づいてきたアラネアさんやオーソーンまで巻き込んで燃え上がります。

うるせー!近づくな!

 棺の中に飛び込んで二人と距離をとりじっと待つと、やっと消えました。
「ふぅーーー死ぬかと思った…」
 体力オバケで免れましたが…これはかなり危険な巻物です。もしくはたまたまこの一枚が欠陥品だったのでしょうか?

あと9枚あるよ…

 互いの火傷を手当てしたあと、さらに進みます。
「図書館はここをぬけたところだ。もう近くまで来てる」
 図書館まであるとは。この設備は放っておくと過激な魔術師にとってかなり大きな拠点になりそうですね。

GOGO

 大きな扉を開けると、広いホールの真ん中で、黒いローブを身にまとった女性がこちらに向かって静かに語り掛けてきました。
「そう。あなたが家におしかけてきて、私の研究を台無しにしたのね。お会いできて、とっても嬉しいわ」

めっちゃおこやん

「あなたはどなたですか?」
「名前なんて問題じゃないわ。どうせ、召喚者って呼ぶつもりでしょうから。さあ、こんな風に散らかした理由はあるんでしょうね」
「大学の本を取り戻しに来ました」
「じゃあ結局、あなたはアレンの取り巻きの一人ってわけ?残念ね。なかなか見どころがあったのに」
 召喚者は首を振りながらため息をつきます。
「ここへやってきて、助手を殺して、研究メチャクチャにした…私を怒らせたあなたに、何かあげるものがあるとは思えないわ」
 隣でオーソーンが震えています。よほど恐ろしい人物なのでしょう。

 しかし、今やこの砦の仲間は私たちが一掃しました。彼女が実力者だとしてもたった一人で何ができるというのでしょう?
「本さえもらえればもうこれ以上の問題は起きません。あなたの失敗はただひとつ。この男を使って大学の書物を持ち出したことです。私はそれさえ取り返すことができればそれでいい。…もう一度過ちを起こしますか?」

 召喚者はじっと私を睨みつけ、それから慎重に口を開きました。
「いいわ。持って行きなさい。絶対に戻ってこないで。でないと、私の最高の怒りと向き合うことになるわよ」

はーい

 身じろぎせず佇む召喚者の視線を浴びながら、三冊の本を回収しました。
『涙の夜』『アイレイド最後の王』『アルテウムについて』の三冊です。
『涙の夜』…これはサールザルが壊滅されたエルフの侵攻について書かれたものです。

『涙の夜』

 本によると、サールザルはスカイリムで初めてノルドが定住した街の一つであり、知られている中では最古となる文明の中心地でもありました。しかしそこはエルフによる悲惨な虐殺――『涙の夜』の現場となったのです。エルフがノルドをスカイリムから追い出そうとしたことはイスグラモルと彼の伝説的な500の同胞団の逆鱗に触れ、のちに彼らはエルフをスカイリムから追い出し、スカイリムをノルドの国としてしっかりと築くきっかけとなりました。
 しかしはっきりしているのはサールザルがエルフによって破壊されたということだけで、具体的に何が起きたのか、何がエルフをあのような計画的な激しい攻撃に駆り立てたのか、そして何のためにノルドはあのような凄まじい反撃をしたのか、わかっていません。
 当時、メレシック時代のエルフは初期のドゥーマーと共にタムリエルの中で最も洗練され強い力を誇示していたと言われています。つまりは『涙の夜』は単なる領土を巡る争いではなかったのではないか、それはサールザルのあの夜、エルフが計画的に襲撃せずにいられなかった、かなり特定された『何か』が作動していたのではないか…という仮説が立てられるのです。
 ちなみにこの仮説を立てる上では、アークメイジのサボス先生の居住区で読んだ『サールザルの没落』著者の論文も比較に用いられていました。

 ここからはあくまで著者の仮説ではありますが、ノルドは街を建てる際に地面の奥深くに『何か』が埋まっているのをみつけ、彼らはそれを埋めたままにしようとしたが、それを知ったエルフが自分達のものにしたがった――だから彼らはサールザルを襲った――つまり、エルフの目的はノルドを追い出す事ではなく、自分達のためにこの力を確保することだったのではないか――そのような見解を記しています。さらに、イスグラモルはその『何か』について知っていて、それがエルフの手に渡らぬよう仲間を結集させたのではないか、そしてノルドが再びスカイリムを支配するようになると、この『力』を地面の奥底に埋めたのではないか――そのように展開していました。

 もしこの本でサールザルの”涙の夜”を引き起こしたとされる『何か』が、あの不思議な球体なのだとしたら…古代のエルフが悲惨な虐殺を起こすほどに欲し、ノルドが街を一つ壊滅させるまで逃げずに激しく反撃した『何か』を、時を超えて我々が偶然にも見つけてしまったのだとしたら…これはかなり、大変なことになってしまうのではないでしょうか?

 「避けられない一連の出来事をお前が引き起こしたのだ」

 幻のように現れたサイジック会を名乗る人物、ネリエンの言葉が思い起こされます。彼が現れた理由は、私があの壁の封印を解き、謎の球体へ行きつく通路を見つけてしまったからなのでしょうか。

 回収した三冊のうち一冊は、サイジック会について触れた『アルテウムについて』というタイトルの本でした。

『アルテウムについて』

 内容はサマーセット群島の中で三番目に大きな島であるアルテウム島についてのもので、サイジック会はその島を本拠地とし、タムリエル最古の修道会として名を知られていたそうです。
 サイジック会に言及した最古の記録は第一紀の20年目のもので、当時からすでに諸国王の相談役を務める等、強い力を持っていたようです。
 彼らはタムリエルで最初に栄えた一族から伝授された『古き法』を提唱していました。『古き法』とは自然の力を個人の意志に結び付けるための瞑想と研究に関する学問であり、その根源はマジカとは異なるものの、得られる結果は大方似ている、とのこと。――魔術の一種、と考えていいのでしょうか?

 しかしアルテウム島は第二紀の初頭に忽然と姿を消します。ちょうどタムリエルで魔術師ギルドが創設されたあたりの時期と重なり、単なる偶然ではないのではという見方もされていますが、様々な歴史家や学者が学説を発表してきたものの、真相を知っているのは当時のサイジック会司祭長ヤキーシスとその一族だけしかいないと言われ、答えは出ていないようです。

 その後、500年の月日を経て、アルテウム島は再び姿を現しました。その時点で島内に住んでいる人々は大半がエルフで、第二紀に行方をくらまし、死んだと思われていた面々だったそうです。彼らはアルテウム島が500年もの間どこにいっていたのか、また、司祭長ヤキーシスと当初のアルテウム議会がどうなったのかについては説明を拒んでいる様子だったとされています。

 この本が書かれた時点ではサイジック会は健在で、セララスという教議長が指導者として立ち、サマーセット群島の諸国王達だけでなく、皇帝ユリエル五世にも大きな影響を与えたとしています。しかしその影響力には波があり、少なくともその後四代にわたる皇帝たちには信用されず、帝都内への立ち入りを禁じられているようです。これも与える影響力の大きさ故ということでしょうか。

 アルテウム島は地理的な図示が困難で、無作為に、もしくは議会の決定に従って、常に位置を変え続けているとさえ言われています。島への訪問者は非常に珍しくほぼ皆無に等しいようですが、著者によればとても魅力的で美しく穏やかな島とのことで、その豊かな表現に一度は訪れてみたいと思わせられました。
  この本は著者がアルテウム島に滞在している最中に書かれたもののようなので、その後、またもアルテウム島が現在に至るまで100年以上姿を消すことになるその前に書かれたものであることがわかります。

 本に書かれている説が確かならば、アルテイム島は消えたのではなく、何らかの理由でどこか別の場所に位置を変えて存在し、サイジック会の人々はそこから私の動きを監視している――そういうことになるのでしょう。

 
 その場で本を熟読している私に対し、召喚者は呆れかえりながら
「目的は果たしたでしょ。もう出て行って」
と言い放ちました。

ごめんね

 ふと気付くと、オーソーンの姿がありません。どうやら召喚者と示談が成立した時点で逃げ出したようです。
 用が済んだからといって命まで奪うつもりはなかったのですが…仕方ないですね。

 本も手に入れたことですし、大学に戻りましょう。

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