スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん~ #101
こちらの続きです
『見えぬものを暴く』
ムズルフトの遺跡
マグナスの杖を探している魔術師集団、サイノッド。彼らが向かったというムズルフトの遺跡にやってきました。
中に入ると、魔術師が壁にもたれ、今にもこときれそうになっています。
「大丈夫ですか?!」
「見つけろ…パラトゥス…オキュロリーで」
謎の言葉を残し、魔術師は絶命しました。
持ち物をあさると、遺跡の扉を開けるための鍵と、調査記録と書かれたノートを見つけました。おそらく彼はサイノッドの研究者。大学でミラベル先生にマグナスの杖について尋ねた一団で間違いないでしょう。
文章は『ガヴロス隊員』に宛てたもので、今まさに亡くなった魔術師その人のようです。『フォーカス・クリスタル』『オーキュロリー』といった見慣れない言葉。ガヴロスさんのダイイングメッセージから、『オーキュロリー』が場所を示す言葉であることは察せられるため、文章を要約すると、『フォーカス・クリスタルをオーキュロリーという場所に届けろ』という命令なのですね。
『パラトゥス』と言う言葉の意味はわからず、さらに持ち物にはクリスタルらしきものも見当たりませんでした。とにかくオーキュロリーという場所へ行けば何かわかるのでしょう。
先へ進めばこの人の仲間がいるかもしれない、という希望もありましたが、奥へ行けば行くほどサイノッドの研究者らしき人々の遺体が転がっているため、だんだんと希望は薄れてきました。
ドワーフ遺跡の罠や機械仕掛けの守護者たちによって排除されてしまったのでしょうか。
奥へ進んでいくうちに出会ったファルメルが、非常に珍しいものを持っていました。
これが『フォーカス・クリスタル』のようです。意外なほど軽く、なんとも不思議な形。
そしてアラネアさんの鎧も新調しました。宝箱から見つけたエルフの鎧です。似合いますね。
やがて巨大な金色の扉を見つけ、開けようと手をかけると、中から弱弱しい人の声が聞こえてきました。
「ガ…ガヴロス?お前なのか?」
「ほとんど希望を失くしかけていたんだ。さあ、扉を…」
向こう側から扉が開き、魔術師が一人、私を見るなり目を丸くして叫びました。
「ここで何をしてる?ガヴロスはどうした?」
「ガヴロスさんは亡くなっていましたよ」
「ファルメルの仕業だな?呪われちまえ!奴らのせいで何もかもメチャクチャだ!」
どうやらサイノッドの研究者たちはファルメルによってほぼ全滅してしまったようです。生き残っていた彼はパラトゥス・デシミウスと名乗りました。ガヴロスさんが言い残していた『パラトゥス』は彼の名前だったようです。ということは、ここが『オーキュロリー』なのでしょう。
パラトゥスさんは嘆きました。ガヴロスさんの死を悼むというよりも、ガヴロスさんが持ってくるはずだったクリスタルを惜しんでいるようです。
「あれがなきゃ、今までの努力は全部無駄だ」
「クリスタルって…」
「最初は思い通りにいかなかった。ガヴロスにも言おうとしたが、聞く耳もたずだ。”いや、そんなに寒くなるわけがない”とか言ってたな。だが、正しいのはこっちだったろ?ここに辿りつくまでは、見当違いのところに焦点を当てていた。寒さで歪んじまったんだ!」
なんの話をしているのかよくわかりません。
「その…クリスタルは何に使うものなんですか?」
「実に素晴らしい計画だ。ほぼ俺が考えだしたのに、ガヴロスに手柄をとられてしまった。内容は秘密だ。サイノッドの代議会の公務だからな。言えないんだよ。…お前こそ、一体何をしている?」
やっと私に関心が向いたようです。
「マグナスの杖を探しているんです」
「あんたが?」
「悪いが手を貸してやる事はできない。俺はクリスタルを何とかして使えるようにしなきゃならないし、そもそもそれが手元にない」
なるほど。やはりここは先に協力するのが一番よさそうです。
「フォーカス・クリスタルですよね?ガヴロスさんの残した調査記録を読みました。これで間違いありませんか?」
「どうやって…!そう、それだよ!誰かは知らんが、あんたのおかげでプロジェクトが何とかなりそうだ…」
目を輝かせていたパラトゥスさんは、我に返ったように私をじっと見据えました。
「実際の所、一体何者なんだ?」
「ウィンターホールド大学の使いで来ました」
「あんたが?あんたの所を訪れた時、サボスは会ってもくれなかった。でも今は、何か聞きたいことがあるんだろう?気乗りはしない。正直な。けどあんたには助けられた恩がある。過去は水に流そう」
ミラベル先生に追い返されたことは根にもっているようですが、それ以上にクリスタルを持ってきたことが功をなしたようです。
「行こう、道々話すとしよう」
歩き始めたパラトゥスさんに続きます。
「ガヴロスが何て言ったかも知らないが、最初は俺の考えだったんだ。俺が戻れば、議会も分かってくれるだろう。この…オーキュロリーを使うアイデアを考えたのは俺なんだ。ドワーフが何て呼んでたかは知らない。どうせ発音できない呼び方だったんだろう」
「あれこれ調べてみて、連中が神の本質を見極めようと躍起になってた事が分かった」
神の本質?
「この機会は、星明りを集めるように設計されている。するとどうなるかは…分からない。分解してみるか?」
機械?そういわれて壁だと思っていた右側のものが、巨大な機械であることに気が付きました。
「重要な部品のひとつをフォーカス・クリスタルと取り換えるのは俺の考えだった。何か月も魔法をかけなくちゃならなかったんだ」
やがてパラトゥスさんは立ち止まり、その視線の先には不可思議な装置がありました。天井から線状の光が突き刺さっているように見えます。
「どうだ、すごいだろう」
「再び動かすのは、そりゃあ大変だったんだ。それが無駄にならなきゃいいんだがな。このクリスタルを装置の真ん中に置けば、焦点を当てる作業を開始できる。クリスタルをアーミラリーの中央に置け。調整はそれからだ」
これが『アーミラリー』。空いている場所にクリスタルを嵌めると、ぐるぐると回りはじめ、光の線が三つに別れました。
「これでいいですか?」
「クリスタルの焦点を合わせる必要がある。あれははるか遠くで作られたものだから、少し調整が必要なんだ」
パラトゥスさんは調整のこつについてつらつらと述べます。どうやらそれも私がやらなくてはならないようです。
魔法を使って冷やしたり温めたりして光の反射角度を変えたり、ボタンを押して機械を動かしながら調整していきます。
やがて調整が終わり、眩しい光が反射し始めました。するとパラトゥスさんが困惑の声を上げました。
「これはなんだ…?こんな結果は…あり得ない」
「この投影は夜空のように光るはずなのに…ウィンターホールドにある何かのようだ」
ウィンターホールド?
パラトゥスさんは壁を呆然と見つめ、そこには世界地図のようなものがぼんやりと白く映し出されていました。
「で、それはなんだ?何をした?」
パラトゥスさんは怒りを露わにしてこちらを問い詰めてきました。
「俺達のやろうとしていたことを知ってたのか?自分の計画をうまくいかせ、こっちの努力を無駄にするために来たっていうのか?さあ、説明してもらおう!」
説明と言われても…ふと視線をずらすとアラネアさんが斧を構えていました。このままでは血が流れます。
「お、落ち着いてください。何の話だかわかりません」
「もうすぐ終わるってところで、あんたが来た。大学にある何かのせいで、何一つ結果を得られなかったんだ。それほどバカじゃない!原因が何か分かっていないとでも思ってるのか?あんたがすべて台無しにしたんだ!」
「待ってください。なんでそんなに動揺することがあるんですか。ただの地図じゃないですか」
「見ろ!これは夜空より明るく輝くはずだったんだ。だがそうなっていない。明らかにあんたが邪魔をしたせいだ。それとも…大学に何かあるんだな?想像すら超える、途方もなく力のある物が。それは一体なんだ?」
「…それは答えられません」
「という事はあんたは何か持ってるんだな?意図的かどうかは知らないが、面白い結果が読み取れる」
パラトゥスさんはこちらを探るように笑いました。
「そんなことより、マグナスの杖を見つけるのを手伝ってくれる気はあるんですか?」
「ああ、杖か。興味深いが…詳しいことは話せない。サイノッドが何年もかけて調べてきた多くの秘密が漏れてしまうからな」
パラトゥスさんはゆっくり移動しました。投影されているのは、タムリエルの地図に違いありません。
「帝都にある天球儀を見たことは?あれに着想を得たんだよ。空だけと限らず、いっそタムリエル全土を投影し、そこに潜在エネルギーを制御して重ね合わせ…大事なのは、この研究は偉大な魔法の力を明らかにするのが目的って事だ。もちろん、純粋に帝国を守るためだ」
ミラベル先生は、ウィンターホールド大学に現れたサイノッドの彼らを見て思ったことを話してくれていました。
彼らはタムリエルじゅうの強力な秘宝を集めるため、ドワーフの残したこの機械を使って、タムリエル全土の地図にエネルギーを発する場所がすべて光るよう仕掛けを作ったが、ウィンターホールド大学にあるマグナスの目のエネルギー暴走によってその目論見が阻害されてしまった――そういうことなのでしょう。
「だが、結局分かった場所は二つだけだ。ひとつは大学だよ」
言われてみれば、スカイリムにあたる地図にふたつ輝く白い点があり、そのうちひとつはウィンターホールド大学の位置にあたります。
「ウィンターホールドの魔術師さんよ、あんたの意図はともかく、こっちが一枚上手だったってことだ。あんたの言ってる事がたとえ嘘だろうが、サイノッド議会の興味をひく何かが、ウィンターホールドにあるのは分かっている」
ただでさえサルモールが探りを入れられている状況なのに、そこへサイノッドまで参戦してくるとなると――ややこしいこと、この上ありません。
私が閉口していると、パラトゥスさんは興味を失ったように投げやりに続けました。
「まあいい。ラビリンシアンに行って杖を探せよ。こっちはシロディールに戻って議会に報告書を出すさ」
ラビリンシアン?その場所にマグナスの杖が?壁に映し出されている地図を見ると、スカイリム上でウィンターホールドの他にもうひとつ光る点があります。
「マグナスの杖はラビリンシアンにあると?」
「ああ、そうだ。多分な…つまり、その通りだよ。間違いない。だがもうどうでもいい。あんたが大学にもっと重要な何かを貯めこんでるのは分かっている。議会に知らせてやる。あんたの企みは明るみに出るだろう」
パラトゥスさんは苛つきを押さえられない様子で吐き捨てるように言いました。彼はウィンターホールド大学にあるマグナスの目と、ラビリンシアンにあるマグナスの杖の関係性を知らないようです。
「もう会うことはないだろう」
パラトゥスさんは私たちに立ち去るよう言いました。その目は混沌としています。仲間を失い、自分自身も命の危険にさらされながら続けていた研究とその成果が、マグナスの目のエネルギーによって阻害されてしまい、あらゆる犠牲が無駄になってしまったのです。ぶつけようのない怒りと虚無感に苛まれている最中なのでしょう。
建物を出ようとすると、突然視界の色が失われました。
「ここまでは素晴らしい出来だ。しかし、試練はまだ先だ」
ネリエンさんです。サールザルの地下で現れたあの日以来の登場です。
「いったん大学に戻ることが絶対条件だ。迅速な行動が求められる。試練に立ち向かい、自分の真の力を見出すのだ。お前は正しい道を歩んでいる。そして勝利を手にするだろう」
ネリエンさんはそれだけ言うとまた消えてしまいました。なんだか私を励ますためだけに現れたようです。
サイジック会が私の行動を監視していることは間違いないようですね。ここまで干渉するならいっそ自分達で事を運んでほしいものですが…迅速な行動を、ということでしたので、まっすぐに大学に帰ることにします。