スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん~ #92
こちらの続きです
ウィンターホールド大学
アラネアさんの希望で、ウィンターホールドへやってきました。
吹雪を避けて宿屋へ入り焚火にあたっていると、改まった様子で切り出されました。
「ウィンターホールド大学へ行ってみたいの」
「ウィンターホールド大学ですか?」
ウィンターホールド大学は、このウィンターホールド市内にある魔術師のための学校です。魔術師の育成や研究が行われていると聞きますが、私は魔術関連にさほど興味がなかったので今までノータッチでした。
「以前にも伝えたけれど、モロウウィンドでは魔術師として生きていたの。スカイリムに来て以来、祠から離れるなんてありえなかったけれど、魔法大学のことはずっと気になっていた。こうして自由の身になった今、一度はあの大学の中を見てみたいのよ」
なるほど。アラネアさんはすでに魔術師として十分な力を持っていますが、だからこそ魔術師としてあの大学の存在が気になるのかもしれません。
それに、ウィンドヘルムの王宮魔術師、ウーンファースがアラネアさんに向かって発した――”力はこの世の鍵だ。いくらだって身につけられるのだ、探し方さえ知っていればな”――あの言葉を、アラネアさんなりに考えて行きついた答えの一つが、「魔法大学で学ぶこと」だったのでしょう。
「わかりました。私はこんな機会がないと中に入ることもないでしょうし、せっかくだから一緒に行ってみましょう」
宿を出てすぐ、崖の上にそびえたつウィンターホールド大学が見えます。
市内からかかる橋の入り口に、ハイエルフの女性が仁王立ちしていました。
「行くなら、危険を承知で進みなさい!道は険しく、門は閉ざされている。あなたは入れないわ!」
険しい表情で睨みつけてくる女性に「ええと、ここは関所でしたか?」と尋ねると、ぱっと表情を変えました。
「まあ、ごめんなさい。ここに来るほとんどの人が、大学のことを聞いてからやってくるのですよ。ここはウィンターホールド大学。スカイリムの魔術師の安寧の地。知恵とアルケインの知識のための場所です」
大学の関係者だったようです。その人がなぜこんなところで敵意剥き出しにしているのでしょう。
「私はファラルダ。大学の知識を求める者の手助けをするのが役目です。そして、必要とあらば害を与えようとする者を阻止します。心してください」
もしかしたら、このあたりの人々が大学に対してよいイメージを持っていない、という話が関係しているのでしょうか?
「もっと重要な質問があります。あなたはなぜここに来たのですか?」
「大学に入ってもいいですか?」
ファラルダさんは馬鹿にしたように軽く笑い、「たぶんね。でも、何をするところか知っているの?」と尋ねました。
「中がどうなっているのか見てみたいんですよ」
「あはは!ユーモアはここに不足している物の一つです」
ひとしきり笑ったファラルダさんは、「それだけが理由ではなさそうですね」と鋭い視線を向けます。それは私を通り越してアラネアさんに向けられている気がしました。
「あなたたちの探している物は大学にあるようね。それじゃ、あなたたちは大学に何を与えてくれるの?誰でも入れるというわけではないわ。入学を望む者には、ある程度の魔法のスキルを見せてもらわないとね」
「入学、ですか」
どうやら同胞団の時のように、組織の一員にならなければ利用できないシステムのようです。仕方ありません。アラネアさんに付き合って、私も魔法学校に入学しましょう。
「でも我々にテストなんて必要ありませんよ。合格できることはやらなくてもわかるでしょう?」
これでも様々な試練を乗り越えてきたのです。胸をはってみせますが、ファラルダさんは「さあ、それはどうでしょうね」と笑みを浮かべます。
「そちらの鎧武者さんはそうでしょうけど、あなたは…ふふ」
どうやら魔術師としての素質はファラルダさんに筒抜けのようです。
ファラルダさんから与えられた試練はとても簡単なものでした。『治癒の手』という呪文を彼女に向かって放て、というものです。
私が覚えている回復魔法は、旅の途中でなんとなく覚えた『治癒』という、自分自身を回復させる呪文だけです。
「それでは入学を許可することはできないわね」
ファラルダさんが首を横に振り、我々はすごすごと引き返すことになりました。元々興味すらなかったのに、いざ門前払いになると悔しいものですね。
「すみません、アラネアさん…」
「気にしないで。でも、『治癒の手』程度の魔法なら、呪文の書さえ読めばあなたでも簡単に習得できるはずよ」
「そうなんですか?呪文の書か……あ、そうだ!」
ウィンターホールドの宿屋、フローズン・ハースへ戻り、カウンター横の一等室を訪問しました。
椅子に座っていたネラカーさんは、私を見るなり顔をしかめます。
「アズラの信徒を相手にするのは好きじゃない。早くしてくれ」
以前『黒き星』の件でネラカーさんの要望を無視してしまったことを、いまだ根に持たれているようです。
それでも私が呪文の書が欲しいと言うと、ビジネスには乗り気なのか喜んで商品を見せてくれました。
購入後、すぐに呪文を覚え、試しにアラネアさんにかけてみました。美しい光がアラネアさんを包みます。
「お礼は期待しないでね」
さっそく橋へと戻り、ファラルダさんに向かって『治癒の手』をかけます。金色の光をまとったファラルダさんは、満足げに頷きました。
「素晴らしいですね」
「そちらの鎧の方は…テストなど必要ありませんね。あなたたちは大学の素晴らしい新メンバーになると思います。ようこそ、見習いさん」
アラネアさんはテストを免除されたようです。魔術師としての実力は見るだけでわかるものなのでしょうか。
アラネアさんのあとにつづき、橋を歩いて行きます。ところどころ崩れ落ちている石の橋は、かなりの年季が入っているようです。
正門の正面に立つと、ファラルダさんは立ち止まりました。これが、古い歴史を持つウィンターホールド大学なのですね。立派な建造物です。
「大学はスカイリムの遺産です。知られることなく、誰にも感謝されないとしても」
「ここのマスターウィザードであるミラベル・アーヴィンと話をしてください。アークメイジのアレンが責任者ですが、実際に運営しているのはミラベルです」
「わかりました」
ファラルダさんは破壊呪文の教師として授業を受け持っていて、希望すれば有料ですが個別に訓練を受けることもできるそうです。
ファーストコンタクトでは驚かされましたが、優しい先生で安心しました。
さて、ついに大学の敷地内へ足を踏み入れます。
「なんだかあなたまで入学することになってしまって、悪かったわね」
「いえいえ。もしかしたら将来ドルテやサミュエルが入学を希望する日がくるかもしれませんから、その下見と思って頑張りますよ。これでも私は吟遊詩人の大学も出ていましてね。学業にはそれなりに興味があるんです。それに、ここまできたらがぜん興味が出てきました」
歴史的な大災害から生き残り、生きる遺産として今も使われているウィンターホールド大学。ここには狩りでは得られないような経験や出会いが待っているはずです。
正面玄関の前で、ハイエルフの男性と、魔術師の女性がただならぬ空気で言葉を交わしていました。
「当然です。私はご判断のご意義を理解しようとしただけです」
「何かにつけお辞儀する帝国の作法に慣れているようですが、ここのサルモールはそういう態度を基本受け付けないと思いますよ。あなたはアークメイジの意向で招かれた、この大学の賓客です。意味はお分かりいただけますね」
「もちろんですとも。アークメイジ様に感謝を」
終始ぴりついた会話は終わり、『賓客』と言われたハイエルフの男性は扉の向こうへと去って行きました。
その場に残った女性に話しかけると、「大学へようこそ」と穏やかに対応してくれました。彼女がミラベル・アーヴェン先生です。
「また入学志願者ですか…最近は多くて驚くばかりですよ」
私の他にも新入生がいるようです。
着用義務はないとのことですが、付呪がほどこされたローブやフード、大学指定のブーツを渡されました。せっかくなので身に着けてみます。皮の鎧を脱ぐのは久しぶりです。これで一端の魔術師に見えるでしょうか。
ミラベル先生が簡単に学内を案内してくれました。
「ひときわ目立つのが”元素の間”です。講義や実習、集会などは主にここで行っています。広間の上はアルケイナエウムで、その上にアークメイジ居住区があります。厳密には当大学の責任者はアークメイジですが、重職ゆえに雑事に手が回らない事も多いので、そこで日常雑務は私が処理しています」
宿舎への移動中、最近地元のノルドとの問題が起き、入場手続きが以前より厳しくなっていることが伝えられました。
「実際に暴力沙汰が起きるとは思っていませんが、予防策を講じても害になならないでしょう……さ、ここが新入生の学舎”達成の間”です。中では静粛にお願いしますね。学生が勉強中だったり… 最新の注意を要する実験を行ったりしているときがありますから」
”達成の間”には個室が用意されており、ベッドと机を与えられました。扉はないのでほとんどプライバシーはありません。
「さて、元素の間へ向かってください。たいていの学生は講義や勉強会でそこにいます。最初はトルフディルが指導教官になります。ここでは大いに尊敬を受けているウィザードです」
ちょうどその”トルフディル先生”が元素の間で新入生の出席をとっているということなので、ミラベル先生にお礼を言って元素の間へと向かいました。