スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん~ #94
こちらの続きです
『アンダーサールザル』『禁じられた伝説③』
サールザル
さて、集合場所であるサールザル遺跡までやってきました。ここには以前来た時にも発掘作業の道具が数多く散見されましたが、ウィンターホールド大学によるものだったのですね。他の遺跡と違い、しっかり施錠されていたこととも合点がいきました。
ここには”ゴールドールのアミュレットの一部”が、ゴールドールの長男ジリクと共に眠っているはずです。級友たちはそのことを知らないのか、トルフディル先生を待つ間の雑談の中でも特に触れてきません。
カジートのジェイ・ザルゴにいたっては、「ここのどこかに黄金があるかもしれないんだろう?」とのんきなものです。魔術師の端くれならば、ゴールドールのアミュレットは喉から手が出るほど欲しくなる代物のはず。トレジャーハンターとしては悟られるわけにいかないので、しれっと「どうなんでしょうねえ」などと当たり障りのない返答でかわします。
ノルドのオンマンドは、素人魔術師でノルドの私を見てあからさまに安心したようで、気さくに話しかけてくれました。
「あんたも初めてかい?自分だけかと思ってたから、うれしいよ」
オンマンドによればノルドのほとんどは魔法に関心を持っていないそうで、「魔法はエルフなどの弱い種族向けのもの悪気はないが」と捉えているきらいがあるのだとか。同胞団の面々の腕力主義を見ていると、たしかに納得できるところがあります。
「ノルドが大学を敵視していると?」
「原因は明らかだろう。まずノルドは基本的に魔法を信用していない。それに加えて、魔法を使う連中がオブリビオンの動乱を引き起こした。今厄介なのはエルフと魔法を使う連中の集まり、アルドメリ自治領だ。そして最後に、ウィンターホールドの大半が破壊された後にのこっていたのが大学だけだったという事実がある。悪い事だらけだ」
なるほど。元々の歴史に加え、サルモールの介入も問題になっているのですね。大学とノルド間の軋轢を修復しようとしているサボス先生にとってはどこまでも頭痛の種というわけです。
「アルドメリ自治領といえば、アンカノさんについては知っていますか?」
「サルモールから来たのは知っている。本人は顧問としてきただけだと言っているらしいけど、そんなこと誰も信じちゃいないよ。正直、ずっと彼を避けていたんだ」
生徒からも怪しまれているアンカノさん。いよいよ肩身狭そうですね。
それにしても、ノルドとしてのスタンダードな思想を理解しながら、魔法を極めようとしているオンマンド。ここに来るまでにはそれなりに葛藤があったことでしょう。それでも魔法大学の門をたたいた彼の信念は強そうです。
級友二人と雑談を交わしていると、トルフディル先生がゆっくりとした足取りでやってきました。
「やっとたどり着いた… さて中に入ろうか」
なんでも、墓の上に今までにみたことのない魔法の封印が出現したらしく、トルフディル先生はそれに興味を持っているそうです。
「…何を探しているんです?」
もしかして、ゴールドールのアミュレットを…?そんな答えを覚悟しましたが、
「すべてさ!」
トルフディル先生はあっけらかんと言いました。
「面白そうなものはなんでもだ。私はこの場所が気に入っているんだ…何が見つかるか予想もつかないのだから。そして、もし魔法が危ない者になりえるという教訓が、一人でも多くの生徒に伝わってくれたらと思うよ」
トルフディル先生はフランクな講義を切り上げ、我々を引き連れてサールザルの扉の向こうへと入って行きました。
中にはいると、ほのかな松明の光以外何も見えない暗い空間ですが、普通の洞窟や遺跡とは違う造りの空間が広がっていました。
周囲を見回しながら進む生徒たちにトルフディル先生が講義を続けます。
「エルフたちによるかの有名な略奪”涙の夜”が起こったこと以外、サールザルで何があったのかは知られていない」
トルフディル先生は立ち止まると、私に向かって『アーニエル・ゲイン氏』の手伝いをするよう指示しました。
「彼は発見されたものを記録につけている」
ダークエルフのブレリナにはシールド魔法の痕跡、オンマンドには残留したエネルギー、ジェイ・ザルゴには我々以外の探索者がいないかの調査を指示し、解散します。
「それではみんな、くれぐれも気を付けて、しかし楽しんでくれ!」
注意深く遺跡を進んでいくと、ノートを読み込むブレトンの男性を見つけました。彼こそがアーニエル・ゲインさんで間違いないでしょう。
「あんたが新しい見習いだな?よしよし…とにかく…とにかく仕事の邪魔はするな、いいか?気をつけろよ、いいな?物を壊したりしたくない」
アーニエルさんは神経質そうに、しかしノートから目を離さずに、「魔法の秘宝を集めてくれ。目録をつくりたいんだ」と言いました。
周辺を見て回ると、暗闇の中できらりと光る魔法の指輪をいくつか見つけ、それらを回収していくうち、妙に明るい部屋に行きつきました。物々しく彫刻を施された壁に、太古のアミュレットが飾られています。
「これも回収…と。ん?」
「…閉じこめられたわ」
アラネアさんが冷静に言います。その傍らの通路入り口には、先ほどまでなかった鉄格子がはめられていました。
「ちょっちょっ!すみませーん!」
大声で助けを呼ぶと、トルフディル先生がゆっくり歩いてきました。
「この騒ぎは何なのだ?一体どうしたらこんなことになる?」
「壁からアミュレットを取っただけなんです」
「アミュレット?…そうか!きっとそのアミュレットは何か大事なものなのかも知れない。何かに使えそうか?」
アミュレットをよく観察してみます。どうやら何か力が付呪されているのはわかるのですが…とにかく身に着けてみましょう。」
首にかけた途端、アミュレットを取り外した壁が歪み、不思議な揺らめきを見せました。
「お前と壁に何らかの共振が起きているのか… アミュレットに関係しているに違いない」
アミュレットをつけたまま壁に近づきますが、触ったり叩いたりしても何も起きません。物理的なダメージが無意味なら、試しにとドラゴンを倒したあとに手に入れたシャウトを使ってみました。
びくともしなかった壁がガラガラと崩れ去り、隠されていた通路が現れました。
鉄格子が消え、飛び込んできたトルフディル先生が「それを見てみろ!」と興奮した様子で崩れた扉と通路を観察し始めました。
「どこかへつながっているようだな。行こう」
躊躇いなく先に進むトルフディル先生の後をついて行きます。
「これはとても珍しい…そして実に面白い。知っている者もいるだろうが、サールザルはノルドがスカイリムに定住した一番初めの土地の一つで、最大の居住地だった」
知りませんでした。ここはノルドの古い街の遺跡だったのですね。
「一体なぜこの場所が封鎖されているのだ。ここは一体何なのか…」
もしかして、ゴールドールのアミュレットを封印するためなのでしょうか?しかし、他の地ではこれほど複雑な封印はなされていなかったような気がします。
暗い通路を進むと、燭台と立てかけられた棺に囲まれた小部屋へ行きつきました。ここで行き止まりのようです。中央には祭壇があります。
「ここで何が起こるかは予想もできない。どうか気を付けて…」
トルフディル先生からそう声掛けを受けた次の瞬間、視界が暗くなり、トルフディル先生の動きが止まりました。何が起こったのか理解できずにいると、祭壇の向こうに光が集まり、その光がローブを着た男の形に変化しました。
「待て、魔術師よ、よく聞くんだ…」
「私はネリエン。避けられない一連の出来事をお前が引き起こしたのだ」
はて、なんのことでしょう。そしてこの人は一体、何者なのでしょう。
「審判はまだ下されていない。知る由もなかっただろうがな。」
亡霊でしょうか?向こう側に回り込んでみると、相手も私に視線を向けました。今までも記憶の残像のようなものを見たり、亡霊に導かれたり、幽霊薬を飲んだ偽物に遭遇したことはありましたが、そのどれとも違います。何か脳内に介入されているような…そしてそこに存在は感じられず、ただ映像だけを見せられているような…不思議な違和感。
「これからお前の行動、そして来るべき危険にどう対処するかに対して審判が下されるだろう」
戸惑う私に構わず、ネリエンは続けます。
「こうして警告をするのは、サイジック会がお前を信じているからだ」
「お前なら… 魔術師であるお前なら最悪の事態を防ぐ事ができるかも知れない」
いや、魔術スキル皆無の狩人なのですが。
「十分に注意してくれ。会が監視している」
ネリエンは最後にそう言い残し、再び光に包まれて消え去りました。それと同時に視界も戻り、トルフディル先生の声が聞こえました。
「い、今、間違いなく何か奇妙な感じがした」
「今、幽霊だか亡霊みたいなものが現れて、めちゃくちゃ話しかけられたのですが…」
「残念ながら何も見えなかった…」
やはりネリエンは私だけに語り掛けてきたようです。
「来るべき危険がなんとか…あと”サイジック会”がどうとか」
「サイジック会だと?」
トルフディル先生は目を丸くしました。
「本当なのか?それは妙だな…迫りくる危機とは…訳が分からないな」
「サイジック達はこの遺跡とは関係がないはずだ。長らくサイジック会のことを見聞きしたものは誰もいない」
「その、サイジック会とは何なんです?」
「彼らは帝国の時代の前に活躍していた魔術師達だ。とても強力で、秘密主義の一団だ。百年以上もの間、誰も彼らを見かけていなかった。アルテウム島にある彼らの聖域と共に、忽然と消えたのだ」
百年以上も前に消えた魔術師の集団。それがなぜ今、こんなところに現れ、私に話しかけてきたのでしょうか。
「理由はわからないが、興味深いな。本当ならばだが」
信じられないのも無理はありません。
「私だったら賛辞と受け止めるだろう。彼らは無意味に接触してきたりしないだろうから」
どうやら魔術師にとっては光栄なことのようです。しかし私はただの狩人…ネリエンが言っていた言葉の意味も全くわかりませんでした。彼は一体何を期待しているのでしょう。もしかしたら、人違いで話しかけてきたのではないでしょうか?
その時、棺の蓋がガタンと開いて、中からドラウグルが現れました。
「何か聞こえたと思ったんだ」
トルフディル先生が冷静に炎を飛ばしました。
ドラウグルが現れた棺は壁へ縦に埋め込まれていて底がなく、その向こうには通路が続いていました。隠し扉だったようです。トルフディル先生とアラネアさん、私の三人で最奥を目指します。
「ここは一体何なんだろうか?」
サールザルの遺跡の中では異質なのか、トルフディル先生は辺りを見まわしながら感嘆の声を上げます。
階段を下り地下深く、青白い光が見えてきました。風のように渦巻くその中心に、巨大な球体が浮かんでいます。
「このような物を発見するなどと、夢にも思ったことはなかった…なぜこのような物がサールザルの深部に埋められているのだ」
私も様々な遺跡や墓地を巡ってきましたが、こんなものは見た事がありません。しいて言えば、ドゥーマーの『辞典』に似ているような気がしなくもありませんが――
ふと視線を下ろすと、王座と祭壇があり、そこにドラウグルが鎮座していました。ドラウグルはのっそりと立ち上がり、こちらに向かって攻撃をしかけてきました。そうです。ここはサールザルの遺跡。ゴールドールの長男ジリクが封印されていた遺跡。つまりあのドラウグルは…
強力な魔力で攻撃してきたジリクを、三人がかりで倒しました。
トルフディル先生はドラウグルよりもあの球体の方が気になるようで、すぐに離れていきました。そのすきにこっそりとゴールドールのアミュレットの一部を回収します。これで三つが揃いました。これを合体させれば、強力な魔力を得られるという伝説のアミュレットが完成するはずです。
何食わぬ顔をしながら階段を下りて、謎の球体に近づいてみます。さきほどまで球体を囲むように旋回していた風はなくなり、静かに浮かんでいるだけではありますが、青白い光の光源はよくわかりません。とにかくただならぬエネルギーを感じます。
トルフディル先生は球体を観察しながらしきりに首をかしげています。しかしその目は一層キラキラと輝いて見えました。
「なんのことやらさっぱりわからないな…面白い、実に興味深い。アークメイジに一刻も早く知らせなければならない。彼が自分の目で見た方がいい」
アークメイジならこれが何かわかるのでしょうか?
「これを放置しておくわけには行かない。大学に戻って、サボス・アレンにこの発見を報告してくれないか。さあ、急いで」
ノルドの街の遺跡の地下深くで発見された謎の物体。一体これはなんなのでしょう。マジカとは縁遠いとされるノルドと、関係のあるのものなのでしょうか?ないとしたらなぜこんな場所にこんなものが現れたのでしょうか?
とにかくアークメイジのサボス先生の下に急ぎましょう。
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