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スカイリムプレイ日記~狩人ちゃん~ #86
こちらの続きです
難破したプライド・オブ・テル・ヴォス号
新たな旅へ向けて酒場で決起集会を行った私とアラネアさん。朝を迎え、ウィンターホールドを出た私たちがまず向かったのは、難破したプライド・オブ・テル・ヴォス号が座礁している現場です。
リフテンの雑貨商人であるダークエルフのブラン・シェイさんに依頼され、彼の出生に関わる手掛かりを探しに来たのです。
海の向こうにぼんやりと見える船の残骸。そこにモロウウィンドからの航路で消息を絶ったという『テルヴァンニ家』の使用人が乗船していたとみられており、それが幼少期にモロウウィンドの名家『テルヴァンニ家』の毛布にくるまれた状態で保護されたという孤児のブラン・シェイさんにとって数少ない手掛かりの一つだというのです。
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冷たい海を泳いで岸に着くと、人の気配がしました。海から上がって濡れながら歩いて行くと、残骸には山賊が積みついていました。
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背中から弓を取り出して構えようとする前に、アラネアさんが炎の精霊を召喚し、あっという間に片づけてしまいました。アラネアさん、召喚魔法を使えるのですね!とても頼もしいです。
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山賊を片づけて船を探索すると、水浸しになった宝箱を見つけました。
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中を見てみると、『リムドレン・トレヴァン二』の日記が入っていました。
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宝箱は密閉性が高かったのか、状態は悪くありません。さっそく読んでみます。
文章は”ブランディル”という人物に宛てた、”ヒドリャ・オーレン”なる人物のメッセージから始まりました。文面によればこの日記自体は”ブランディル”の父親が書いたもので、彼の世話になっていたテルヴァンニ家の乳母、ヒドリャ・オーレンは”ブランディル”の所在を探すもかなわず、『この本がどうにかしてあなたの元に届けばいいのだけど』と書き残しています。
船が沈む中、死を覚悟して書いたものなのか、もう自分がブランディルに会うことはないことを嘆く言葉で結ばれていました。
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第四紀6年、今から200年近くも前のことです。モロウウィンドの名家テルヴァンニ家は、アルゴニアンの侵略により滅亡しようとしていました。妻を失ったリムドレンは、残されたたった一人の息子、唯一の生ける継承者である赤ん坊に”ブランディル”と名付けました。
「アラネアさん、この”赤い年”というのは」
私の問いかけに対し、アラネアさんは表情を変えずに答えました。
「…第四世紀5年、レッドマウンテンが噴火し、モロウウィンド全域は灰に覆われた。その年は『赤い年』と呼ばれ、我々ダンマーの運命を大きく狂わせたわ。私たちはアズラの預言を得て逃げ出し、最悪の事態を免れたけれど、残っていた人たちは……そう、あのテルヴァンニ家も絶えてしまったのね。赤い年の、一年後に」
ダークエルフは私たちよりも長生きです。アラネアさんは失われた故郷とその土地で命を落とした同胞たちを思い、静かにため息をつきました。
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『彼をトロンニャと呼ばれる赤ん坊用の細長い布に包み、彼の運命をアズラの意志に委ねることにする』
自身の命が残り少ないことを察知し、殺戮が行われている足元、自宅の地下室で無垢な赤ん坊を抱きしめながら、ただ神に運命を委ねるしかなかった当主であり父親であるリムドレンの強い思い。日記を読むだけで胸が締め付けられます。
乳母として仕えていたヒドリャ・オーレンさんもまた、この日記を読んでいてもたってもいられなかったのでしょう。必ず”ブランディル”を見つけ出し、父親の思いを伝えようと。そしてモロウウィンドを旅立ち、乗り込んだこの船は道半ばで難破してしまいました。どれほど無念だったことでしょう。
皮肉にもその赤子は流れ着いたブラック・マーシュで一族を滅ぼした種族であるアルゴニアンによって別の名を与えられ、育てられるわけですが――時を経て、彼自身が出生の謎について調べ上げ、手掛かりを得ました。そしてまさに彼の父親の思いと記録、それをつなごうとした乳母の思いがこの場所に残っていて、私の手元に渡ったわけです。
「アズラのご意志だわ」
アラネアさんは両手を広げて祈り始めました。実際のところはわかりませんが、きっとただの偶然とは片づけられないものがあるのでしょう。
山賊長から回収した鎧です。なんだか強そうだし、首回りもモコモコして暖かそうです。アラネアさんに「どうですか?」と渡してみると、
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肌が見えているところは編み目状になっていて色っぽいです。そしてヘアスタイルも初めて知りました。素敵なショートボブです。
「なんだか強くなれる気がするわ…」
鎧に付呪効果はありませんが、物理的に防御力が高まったのは間違いないでしょう。
リフテン
リフテンのプラザへ来ると、店を片づけたブラン・シェイさんが宿舎へ戻ろうとしている所でした。
「調査に役立ちそうなものを見つけましたよ」
「見せてくれ!」
渡した日記を貪るように読み、手を震わせながら頷きました。
「そう…そうだ!これだ!どうやって見つけたのかは知らないが、どうやらうまくいったようだな」
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ブラン・シェイさんは興奮さめやらぬ様子で、小さな鍵を差し出して言いました。
「この鍵を受け取ってくれ。市場にある俺の露店の下に金庫がある。それを開ける鍵だ。中にある物は好きに使ってくれていい」
「え!いいんですか?」
「感謝の気持ちだ」
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ブラン・シェイさんは日記を胸に抱き、鍵を押し付けるようにして行ってしまいました。
離れていく背中を見送ったアラネアさんが「彼がテルヴァンニ家の生き残りということ?」とささやきます。
「さあ、どうなんでしょうね。アズラのみぞ知るところです」
ブラン・シェイさんの露店の下に引き戸が取り付けられており、それを開けると鍵のかかった金庫が置いてありました。もらった小さな鍵を差し込みまわすと、中には宝石や薬、呪文の書が保管されていました。
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手間賃ということで、ありがたくいただきましょう。露店の裏から出ると、リフテンの衛兵がじっとこちらを見ていました。
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どうやら報酬を取り出していたところは見られていなかったようで、事なきを得ました。怪しまれる前に離れましょう。
オナーホール孤児院へ、子供たちの様子を見にやってきました。
アベンタス・アレティノにも挨拶をすると、元気そうに世間話をしてくれたあと、こう言いました。
「大きくなったら暗殺者になる。そうしたらあなたみたいに、たくさんの子供たちを助けられるから」
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まっすぐな瞳で見つめながらそんなことを言われてしまっては、返す言葉もありません。
「あれは、どういう意味?」
孤児院を出た後、アラネアさんから尋ねられました。当然の疑問です。私はこれまでのことを打ち明けるため、アラネアさんを酒場へ誘いました。
この孤児院がどんな場所だったのか。そして、私がなぜあの無垢な少年の未来を闇で覆うことになってしまったのか。
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全てを知ったアラネアさんが、どのようなジャッジを下すのかはわかりませんが、この先の旅でもまた同じように決断を迫られる場面があるでしょう。
私は善良な人間ではありません。ただの狩人で、時には人の命も狩る人間です。すべては自分の信条の下に。
アラネアさんがそんな旅に同行し、私の決断を見守ることができるのかどうか、それはアラネアさんの信条に任せる他ないのです。
今夜はリフテンに宿を取り、でたらめに高価なハチミツ酒でも飲みながら、ゆっくり考えてもらうとしましょう。