死刑台のエレベーター感想
こんにちは。さびです。
すっかりnoteから遠ざかってましたが、のんびり気が向いたら更新する感じにしていこうと思います。
というわけで、久しぶりに映画を見たのでその感想です。
「死刑台のエレベーター」(1958年フランス)
〇だいたいのストーリー〇
※ネタばれありなのでお気を付けください。
<起>
愛し合っている男女が悪事を企てており、事が済んだら落ち合う約束をする。男女が企てている悪事とは、男が勤めている会社(カララ商事)の社長を暗殺することだった。男(ジュリアン)は無事に事を成し遂げ、女との待ち合わせに向かおうと車に乗り込むが、暗殺に使用した道具を放置してしまっていることに気が付き回収に向かう。会社のエレベーターに乗って移動している途中で、警備員が会社の電気をすべて落としてしまい、ジュリアンはエレベーターに閉じ込められる。
<承>
待ち合わせ場所で待っていた女(フロランス)はジュリアンが現れないことを不審に思い、男を探すため街を歩き回る。その時ジュリアンの車を街で見かけるが、助手席には若い女が乗っていた。実は、ジュリアンが置いて行った車に興味を持った若いカップルが、ジュリアンが帰って来ないことをいいことに車を借用してしまっていたのだ。
若いカップルがドライブをしていたところ、別の車とカーチェイスになる。そのまま車を追いかけていくとモーテルにつく。追いかけていた車は裕福なドイツ人夫婦が乗っており、モーテルに宿泊するという。若いカップルもモーテルに宿泊することにするが、カップルの男は直近で盗みを働いていたため、元々の車の所有者であるジュリアンの名前を使って宿泊を行った。
カップルはドイツ人夫に誘われ食事を共にする。カップルの女が、主人公の男が食う間に残していたカメラをドイツ人妻に見せると、ドイツ人妻は残りの枚数を使い切ってから現像しようと言って、カップルと自身の夫が談笑している様子を撮影する。カップルの男は自身がジュリアンであるかのように振舞うが、ドイツ人夫からは別人であることを見抜かれていた。
カップルの男は自身がジュリアンではないことを見抜かれていたため、ジュリアンの車からドイツ人夫妻の車に乗り換えることを目論む。ドイツ人夫妻の車に乗り込んだところ、待ち受けていたドイツ人夫に声をかけられる。カップルの男は威嚇するためジュリアンの銃でドイツ人夫を脅すが、ドイツ人夫はひるまず近づこうとしたため、カップルの男はドイツ人夫を撃ち殺してしまう。銃声を聞きつけて現れたドイツ人妻も撃ち殺してしまう。事件が発覚するのを恐れたカップルはドイツ人夫妻の車を使って逃げ帰る。
カップルの女の自宅に帰ってきて、逮捕されるのを恐れる二人。警察に捕まるくらいならと、女の所有している薬を服用し、心中を図る。
<転>
フロランスは一晩中ジュリアンを探し回っていたが、立ち寄った飲食店でその他大勢の客とともに警察の立ち入りに遭遇し、警察署に収容されていた。フロランスがカララ商事の社長の妻だとわかると、警察は手違いだったと言ってフロランスを解放する。フロランスはジュリアンを知っているか警察から聞かれ、昨日の夜に車に乗っているところを見たと答える。そこで、ドイツ人夫妻が殺害される事件が発生しており、夫の会社の従業員であるジュリアンが容疑者となっているということを聞かされる。
警察はジュリアンを捜査するためカララ商事本社を訪れる。電源を付けて、エレベーターでジュリアンの執務室に向かう。一晩中エレベーターに閉じ込められていたジュリアンは、運よく脱出できることとなった。警察はジュリアンの執務室を捜査する。警備員は念のため社長室に向かったところ社長が死んでいることを発見し、警察にそのことを伝えるのだった。
エレベーターから脱出できたジュリアンは馴染みのカフェで朝食を食べようとするが、ドイツ人夫妻殺人の容疑者として新聞の一面にジュリアンの顔写真が載っていたため、店員から通報されジュリアンは逮捕されてしまう。警察から尋問を受けるなかで正直に一晩中エレベーターに閉じ込められていたと話すも信じてもらえない。
<結>
ジュリアンがドイツ人夫妻殺害の犯人ではないと信じるフロランスは、真犯人であるカップルの女の自宅を突き止め、自宅を訪れる。カップルは心中を図ったものの、女が所有していた薬は死ぬようなものではなかったため命を落とすことはなかった。フロランスはカップルを自宅に閉じ込め、ドイツ人夫妻殺害の真犯人が潜伏していることを通報するも、警察は不信に思う。
カップルの男は新聞を見て、ドイツ人夫妻殺害の容疑者がジュリアンであり、自分たちではないことを喜ぶ。しかし、自分たちをドイツ人夫と談笑しているところをカメラに残してしまっていること、ホテルで現像を依頼してしまっていることを思い出す。カップルの男は合鍵を使って自宅から出て、ホテルに向かう。公衆電話から通報していたフロランスはカップルの男が自宅から出かけているのに気づき、車で後を追う。
カップルの男がホテルの現像室に着いたところ、すでに写真は現像されていた。さらに警察が待ち伏せしており、そのまま逮捕される。追いかけてきたフロランスも現像室に入り、写真のおかげでジュリアンではなくカップルが真犯人だと判明したことを知る。しかし、カメラには昨夜の前に撮影されていた写真が残されていた。それはジュリアンとフロランスの仲睦まじい写真だった。警察から、ジュリアンの容疑がドイツ人夫妻殺害の容疑からカララ商事社長殺害に切り替わったこと、フロランスも共犯として捜査されることを聞かされるのだった。
〇感想〇
ストーリーが面白くて映画に没入できるかというとそこまでではなかったが、その分映画の表現や当時の様子に意識を向けることができた。
個人的には、1960年頃の様子が見られるのが面白かった。
例えば、電話交換手という職業があったことは知識として知っていたが、実際に端子のようなものを付け替えして転送する様子を実際に映像としてみるのは初めてだった。
車に関しても、あまり知識がないのでうまく表現ができないが、屋根部分の折り畳みの様子を見ることができた。
あと個人的に印象に残っているのは、ジュリアンが社長を殺害しに行くときにビルの高いところから道路を見下ろすシーン。ジュリアンが下を見下ろしているシーンの次に道路のシーンを映すことで、ジュリアンと道路を同じ画面に撮らなくても道路のシーンをジュリアンの視界であることを表現できることがわかった。
ジュリアンとフロランスの関係性は、冒頭の電話のシーンでお互い想い合っていることはわかったが、カララ商事の社長を殺害することとどのような関係があるのかわからなかった。
フロランスが警察から解放されるときに初めてフロランスがカララ商事社長の妻であることが明かされ、ジュリアンとフロランスは大っぴらにできない関係性ということが理解できて、二人の関係性とカララ商事社長殺害の目論見が腑に落ちた。
写真は秘め事を白日の下にさらすということで、今の時代にも通じる要素だと思った。