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ショップツーリング3
さて、今回は前回ご紹介した原付2種ツーリングの中で、一番印象に残ったツーリングの話をしたいと思います。
あれは確か7〜8年前のこと。11月下旬にスズキのアドレスV125を購入された60代のお客さんが、店主にこう言いました。
「来月みんなでツーリングがしたい」
と。
もう季節は冬に差し掛かる時期です。いつ雪が降ってもおかしくありません。
もちろん、希望者は全員自己責任ということがわかっているお客さんがあつまりました。
普通なら、いつ雪が降ってもいいように町中を走り美味しいものを食べて解散!!
という流れになるのですが、どういうわけか山越えをしようと言うのです。毎年雪が降り積もる道を通り、カニを食べに行くこととなったのです。
私は、雪道は何度も経験しているので万が一のためにスタッドレスタイヤを装着しておきました。
ツーリング当日。案の定 雪が降ってきました。にもかかわらず、参加人数は20名を超えていました。
ほとんどの参加者がノーマルタイヤのままで集合していました。
みんなある意味強者ばかり😅
ただバイクの場合、車と違ってノーマルタイヤではどうしようもありません。
言葉でどこまで伝わるかわかりませんが説明しますと、ワダチにはまると一瞬で転倒しますし、アイスバーンの上では全くグリップしないでアイススケートのように滑っていきます。
そもそもなのですが、たとえスタッドレスタイヤを前後装着していても安心して走行できるわけではありません。
両足を地面についた状態で走行しないと安定して走ることは難しいです。
また、アクセルとブレーキは細心の注意をはらわなければなりません。
走行スピードは出しても30〜40キロ程度。アクセルは常に一定を保ちます。ブレーキをかける際はフロントブレーキ禁止です🙅♀
リアブレーキと両足をついた抵抗を利用して減速します。
これは、ノーマルタイヤでもスタッドレスタイヤでも同じことです。
そんな状態の中のツーリング。トラブルが起きないわけがありません。
開始して2時間くらい立った頃。雪道で立ち往生してしまいました。
ノーマルタイヤの人が上り坂で登れず、止まってしまったからです。
私のようにスタッドレスタイヤは問題なく登れますが、大半の参加者がノーマルタイヤだったため引き返してバイクを押すのを手伝うことになりました。
そこまでするのも理由がありました。
こんな状態なのにもかかわらず、お店を団体予約していたからです。そのため、現時点でも大幅に遅れていますがなんとしても目的地に到着する必要があったのです。
バイクを押しながら雪道を進み続けて正午ごろ。雪から雨に変わりました。
その後、道も雪が少なくなりノーマルタイヤで普通に走行できるようになりました。
目的地のカニ鍋店🦀にたどり着いたのは予定から2時間遅れでした。
同店の店主さんが温かく迎えてくれ、料理も大変おいしかったです。
寒さと疲れで食後は一歩も動くことができませんでした。でも、予定が大幅に遅れていたためさっさと帰路に向かって走っていかなければなりません。
もともとの予定では来た道をそのまま戻って帰ることになっていましたが、みんな「もう嫌だ」という感じだったため、山道を使わずひたすら広い国道をまっすぐ走って帰りました。
このツーリングはもう二度と開催されないでしょう。だって、転倒者続出だし万が一交通事故にもなればお店が責任をとらなくてはなりませんからね。
まだ色んなことが寛容だった頃の貴重なツーリング体験でした。
私にとっては、おそらく一生の思い出というくらい記憶に残ったツーリングでしたが、良いライダーは決してマネしないでください。
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