AI開発の醍醐味は仮説を立てて結果それがうまくいったときにある~社員インタビュー#19
今回は、社内で誰もが知るフルスタックエンジニアのMさんのご紹介です
。研究チームを率いて、AIにおけるグローバルな先端研究分野の論文をサーベイし、AIエンジンの機能向上を担っていらっしゃいます。AI研究、開発の醍醐味や難しいと感じる点などうかがいました。
―トリプルアイズと出会ったきっかけ、入社時期を教えてください。
2021年4月の入社です。トリプルアイズと出会ったのは、前の会社に所属していたときに、囲碁AIの大会で創業者の福原さんとお会いしたのが最初ですね。そこで福原さんから「一緒にやりませんか?」とお声がけいただいて、囲碁AIの共同開発を行うようになり、その後、さらに声をかけていただいて入社という流れです。
―これまでのご経歴を教えてください。
前職ではJava技術をつかった開発を10年近く行っていました。CADシステム開発やWEBアプリの開発も行っていました。そのJava Appletが廃止になって、HTMLへの移行が完了したタイミングが一区切りかなと思い、それを機にトリプルアイズにジョインしたんです。
―社内では誰もが知るフルスタックエンジニアということですが、学生時代からプログラミングを学ばれていたのですか?
そうですね。学生時代は学校でも趣味でも「コンピューター系」でしたね。ただ、所属していた学科はハードウェア寄りで、電気電子まわり、回路やトランジスタといった電気系の学科でした。一方で研究室はソフトウェア開発寄りの研究室だったんです。
―囲碁AIの開発は学生時代から?
いえ、囲碁AIは社会人になってからです。2016年くらいですかね。学生時代の先輩がコンピューター将棋・AI将棋の研究をされていて、その頃AIが将棋のプロ棋士に勝って、じゃあ次は囲碁AIかと言われていました。囲碁はどうなるんだろうと素朴な疑問をもって始めたのがきっかけです。まずは囲碁の入門書や漫画の「ヒカルの碁」などを読んで、とりあえずルールを知って対局ができるレベルになってからAI開発に着手しました。
―囲碁AI開発はトリプルアイズにおけるAI開発の礎ですよね。現在、AIZE開発部ではどんな業務をされているんですか?
AI技術、顔認証技術まわりの開発とチームマネジメントです。論文調査やAIエンジンの機能向上を担っています。トリプルアイズのAIZE開発における精度向上、機能追加、高速化をチームで進めています。ディープラーニングによる画像認識については、少しは触っていたので知見がありましたが、「顔」に関しては実はトリプルアイズに入ってから勉強しました。
サーベイ論文、まとめ論文をひたすら個別に調べていって、知識をつけていきました。
―仕事をする上で大事にしていることはありますか?
マネジメントの上で意識しているのはナレッジ共有ですかね。チーム内での業務割り振りは、単一機能は1人か2人単位で開発というように、機能単位で割り振りしています。ただ、そのように割り振りしつつも、その人しか分からないという状況は望ましくないので、情報をチームで共有するようにしています。
あと、個人的に気を付けていることは、プロジェクトの全体像をみながら仕事を進めることです。集中しているときは、そこにハマってずっと調べものをしたりプログラミングをしがちですが、それって実は切羽詰まった状況だったりもするんですよね。なので、そういう時にこそプロジェクト全体を俯瞰してみることを意識的にやっています。
―印象に残っているエピソードを教えてください!
嬉しいエピソードだと、いま新モデルをチームメンバーの2018年新卒で入社したIさんメインでやっているんですが、その精度が上がりそうです! 1年ちょっとかけて開発を進めており、今回は素直に精度向上が望めそうです。まだリリース前ではありますが、手応えがあってワクワクしています。
―AI研究の醍醐味ってどんなところでしょうか?
面白い部分は、いろいろ調査をして、こうなるのではないかという仮説を立てて、その道筋通りに開発を進めていって、結果としてうまくいくと楽しいですよね。一方で、難しい部分もあって、必ずしも仮説通りにはいかないこともあります。AI単体だとうまくいくけれども、システムとして組み込むとうまくいかないといった例もあり、割とそこは難しいと感じますね。サービス提供を考えるとそこが一番大事なポイントでもあります。
―AIの研究・開発をするうえで、必要だと思うスキルはありますか?
そうですね。数式、いわゆる行列計算や微分積分あたりが得意だとそこを活かせると思います。特別なスキルが必要かというとそうではなくて、数式などに苦手意識があると難しいのかなって思います。
―トリプルアイズが行っている事業についてどう感じていますか?
SIの事業とAI開発の事業といったように複数の事業があるのはとても良いと思います。すごいスピードで技術革新が進んでいるなか、顔認証技術に関しても10年先20年先と明るい要素もあればそうじゃない要素もあると思うんですよね。法律やプライバシーの問題とか国によっても違いますし。そんななか、事業が複数分野あるというのは、強みが幾つかあって良いなと感じています。
―会社に期待することはありますか?
でっかいサーバーがほしいです。AI研究用のサーバーとかあると良いな(笑) 研究や開発のときに使用する分量がテラバイトという桁になるんですが、データが蓄積されるとどうしてもスムーズにいかない面倒なことも出てきてしまうんですよね。まあ、まずは設置してもらえるよう、自分たちがしっかり結果を出していきたいと思います。
―趣味や今はまっていることなど教えてください!
囲碁AIは趣味でも続けています。あと、土日はゲームしたり、技術書を読んだり。どちらかというとインドア派ですね。ゲームは「7 Days to Die」というサバイバルホラーとか、何もないところから街をつくっていく「Banished」とか。
―インドア派なんですね。
はい。ただ、ずっと自分は生粋のインドア派だと思っていたのですが、コロナ禍、真っ只中のとき、外に出られない時期、その時はさすがに外でリフレッシュしないとストレスたまるなと気づきました。ある意味自分への新たな発見でした(笑)
―今後の展望を教えてください。
新しいAIをつくりたいですね。現時点では、サーバー側の顔認証AIの改善を進めている部分が多いです。そこが落ち着いたら、全体を見渡した改良をやっていきたいという思いがあります。AIZEのメンテナンスなど、そこを人間がずっと対応していくのは大変なので、メンテナンスや予知保全のAIがあると便利だなと思います。
―若手社員やエンジニアを目指す人に一言メッセージをお願いします。
プログラムを書くということが重視されがちですが、実は読むことも重要です。他のプロジェクトのソースコードを読むことで、自分が実現したいことが明確になってきたり、解決への糸口発見につながったり、これまで見えなかったものが見えてきます。ぜひ読む技術も高めていってほしいなと思います。