#48 洞窟へ出発の日
いよいよOliviaとAlexと約束した
洞窟探検の日がやってきた。
洞窟探検と言っても
採掘の仕事をしているAlexの現場に
同行させてもらう、というものだった。
私は前回あちらの世界に行ったときのように
例の鍵を握って
あのカフェでOliviaと会うことを
強く強くイメージした。
目を開けると、玄関へ通じる扉が
あのアンティーク調の
ずっしりとした扉に変わっていた。
うまく扉を呼び出せたことに
すっかり満足しながら
私はまたあちらの世界へ踏み入れた。
待ち合わせの時間には少し早かったが
Oliviaのカフェに着いた。
「こんにちは~」
中に入ると、Oliviaと弟のJoseが
お店の奥の方のテーブルで
ボードゲームのようなもので遊んでいた。
カウンターからは
お父さんのGregoryが私に笑顔を向けて
こんにちは、と返した。
私に気付いたOliviaもこちらを向いて私を呼んだ。
「おはよ~!こっちこっち!」
呼ばれた奥のテーブルに着くと
ちょうどJoseがサイコロを転がしたところだった。
私の前を横切ったサイコロは
なんと10面体だった。
「あれ?このサイコロ、10まであるの?」
驚いた私を見て
OliviaとJoseが顔を見合わせて笑った。
「当り前じゃない!サイコロよ?
サイコロと言えばだいたい
0~9か1~10のどっちかでしょ。」
「え、あ、そうなんだ…
私の世界だと、1~6が普通かな。
特殊なゲームとかじゃない限りは
大体6面体だよ…」
Joseはさらに驚いた顔をして言った。
「え?なんで6まで?
6に何か意味があるとか?」
「あぁ…う~ん…
意味はわからないけど…
確かにそう言われればなんで6まで何だろう…」
「6までかぁ…あんまり見たことないわね。
あ!Pierreさんが来たわ!」
店に向かってくる鉱石商のPierreを見つけて
Oliviaはママ~!と叫びながら
店の奥へ入っていった。
「Joseも今日は洞窟に行くの?」
「いや、今夜は学校で
天体観測をしなきゃいけなくて。
この後学校の寮に戻るんです。」
「そうなんだ。天体観測って
地味に見えて大変そうだよね…
頑張って。」
「ありがとう。洞窟、気を付けて。」
「うん、ありがとう。」
そう言われて私は2つの占いを思い出していた。
氷の王国で出会った預言者のInesにも
星を読む天文学者のFrancescoにも
「危険な目に遭う」と言われていた。
特に詳しく見てもらったFrancescoには
洞窟で閉じ込められると言っていた。
でも助かる、予期せぬことが起こらない限り。
正直とても不安ではあったが
預言者のInesが言うには
周りの人を信じていれば助かるとのことだった。
とにかく、2人とも、”助かる”と結論付けていたので
気にしないようにしていた。
「やぁ、Gregory。」
と、店の入り口でPierreの声が聞こえたかと思うと
ほぼ同時に奥からOliviaが戻ってきた。
続いてAlexが降りてきた。
「あら、Mちゃん、おはよう!
Pierreさん、時間ぴったりね。
さぁ、行きましょうか。」
これが洞窟へ出発した朝のおはなし。
続きはまた次回に。
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