#50 蝶と鉱石の光魔法 装飾ランプ
「Alexさんって
この採掘チームのキャプテンだったの!?」
入り口のプレートを見て、私は初めて知った。
「そうよ。
3年ほど前からこのチームを任されてるわ。」
かっこいい、と言う私に
Oliviaは自慢げな顔をしていた。
「荷物は奥の部屋に適当に置いちゃって。」
”奥の部屋”そう言われてハッとした。
穴の中が広すぎた。
外から見る限りでは
ウナギの寝床のような細長く狭い横穴の印象だった。
さらに、この4人で一番背の低い
164cmの私でさえ少し屈んで入ったし、
穴の上は上の段の通路まで20㎝ほど
あるかないかの天井だったのに
中では余裕で2mはあるようだった。
さすがだなぁ…
と思いながら奥の部屋に入った。
「ねぇ、Olivia。私って
何か持っていくものってないよね?」
「うん、洞窟の中で落としちゃいけないから、
杖以外は何も持っていっちゃダメって
言われてるわ。
まぁ、私達はちょっと見るだけだもんね。」
ふとPierreさんの方を見ると、
彼は自身の杖で自身の肩の辺りを
トントンと叩いた。
すると、いつもの小奇麗なスーツが
チノパンとシャツというラフな格好になった。
驚いていると、先ほどの部屋から
Alexの声が聞こえた。
「あなたたち、もう出れる?
こっちでランプを選んでちょうだい。」
先ほどの部屋に戻ると
美しい装飾ランプがいくつかテーブルに置かれていた。
「わぁ!きれーい!これ持っていくの?」
Oliviaを目を輝かせてAlexに聞いた。
「そうよ。少し前に行った洞窟の辺りに
ランプの職人がいてね、仲良くなったのよ。
それからランプはその人に頼んでるの。
とってもおしゃれなランプでしょ。」
ガラスの上部はレースのような金属で装飾されており
上には丸い球体の飾りと
1粒のダイヤのようなストーンが乗っていた。
下部も繊細な柄の金属の合間に
不思議な色のパールのようなものが埋め込まれており
土台は細かな花に一粒ずつ煌めくものが乗っていた。
本来光源があるべきガラスの中では
クラスターの付いた細長い鉱石が
透明感のある美しい色をしていて
その先端付近には蝶が留まっていた。
鉱石はどれも
ゆっくり次々と七色の光を放っていた。
フォルムはエジプトグラスのような形だが
雰囲気はモロッコやアラブ、トルコといった
中東らしい繊細さを持っていた。
鉱石に留まる蝶を見て
以前Alexに貰った
蝶が舞う鉱石のガラス小瓶を思い出した。
「また、鉱石に蝶…
こっちって蝶は鉱石に留まるものなんですか?」
「そういう種類の蝶がいるってだけよ。
この蝶と鉱石の関係は不思議でね。
この鉱石は、この蝶が留まらないと光れないの。
この蝶は、このそれぞれの鉱石と似た色や柄で生まれ、
自分と似た鉱石が見つかるまで
どこまでも旅をするらしいわ。
ただ、稀に、全く違う鉱石に惹かれて
そこを終の棲家にしてしまう蝶もいるみたい。」
「蝶と鉱石…
何の関係もなさそうなのに、不思議ですね…」
「そうね。ランプ職人が言ってたわ。
どう頑張ってみても、蝶が留まらないと
この鉱石は光らないから
このランプを作る時は
蝶が留まるのを待つしかないんだって。」
「鉱石に留まるまで待つしかないなんて…
待ってるの、大変そうですね。」
「そうなのよ。
だから、大切に扱ってね。」
「はい、もちろんです!」
私達はそれぞれ好きなランプを手に取り
洞窟へ向かった。
これが蝶と鉱石の光魔法 装飾ランプに
出会った時のおはなし。
続きはまた次回に。
最後までお読みいただき
ありがとうございます。
サポート、フォロー、スキしてくださった方
応援のお気持ち大変嬉しいです。
ありがとうございます。
あちらの世界で仕入れたものは
minneにてアクセサリーにして
販売しています。
他、ギャラリーの裏側なども
SNSにて発信していますので
ご興味あればこちらもご覧くださいね。
https://twitter.com/3count_m
https://www.instagram.com/3count_m