ほんの一瞬のこと
この広い大地にひとり立ちすくむ
何度も見たはずの青がいつしか赤に染まる
その連続性を追いきれぬまま迎えた夕闇の到来
暮れなずむ街の風景
託されたのだ
託されたのだよ
ついに、私しかいなくなった
震える冬の日に道端で天を仰ぎふと思い出す
細長く白い煙がたなびく青空を見上げたあの夏の日
一筋の陽光が私の吐息を溶かす
遠のきゆく存在に誰もが思いを馳せた
記憶であり、憧れであり、懐かしさであり、憤りであり、そして、雄姿であった
今去りゆく無数の時間の断片
主役は姿を、そして言葉を失ってしまった
数限りない満足と悔恨を残して
こみ上げる感情はどこへ持っていけばよい
たとえ拳を振り上げたとしても行き場なく地に堕ちるだけ
大切なものはかくも容易に失いゆく
私を現世へ誘ったあの太陽は草葉の陰で眠る
託されたのだ
託されたのだよ
生きること、笑うこと、語ること、すべてを
成功も失敗も
過去も未来も
栄光も衰退も
それは数万光年の一瞬のことだから
怯える必要などないというのだろう
あなたが笑みを湛えて歩み寄ってくる姿
自信に満ちあふれたその大き目の歩幅を私は忘れない
期待と現実は裏腹に、その狭間は思いのほか広く深い
思い切り走りたい、あなたの分まで
帰らぬ人
大海の向こうで、遥か頭上の雲を越えて
何の根拠もなくあなたに守られている気がする
明日も東京は晴れるらしい
一日という一瞬がまた終わった