美女をナメル彼の夜
こんばんは。今日もお疲れさまでした。
「今の彼女と別れて、そっちに戻ったらまた付き合ってくれる?」と言ったのは、友人の元彼でした。
友人は、中学時代から、学校で1、2を争うほどの美女で、芸能人と見まごうほどでした。好き嫌いがハッキリして、スッキリした性格の彼女は、男女ともに人気がありました。男性からは、その見た目も含めて、女性からは、そのスッキリさ故に。
高校生になって、彼女は同級生の男性と付き合い始めました。恋人になった彼女達は、いつも一緒にランチタイムを過ごし、部活までの短い時間に、教室でマルバツゲームやビンゴをする睦まじい二人でした。私は、彼女たちの発する温かい空気に、いつも何と声をかければいいのか躊躇いました。そんな二人は高校を卒業して、程なく別れてしまいます。
何がきっかけだと言っていたのかもう覚えていません。ただ覚えているのは、彼女が傷ついていることだけです。私はあんなにスッキリした性格の彼女も恋には勝てないのだと知りました。
それから、程なくして彼女に新しい彼氏ができました。年下で、とても仲が良さそうでした。ツーショットの写真やプリクラをいつも会うたびに見せてもらいました。この二人なら結婚するのでは?と皆が思っていました。
しかし、彼は、仕事で関東に行くことになりました。私たちの住む西日本からは遠い遠い距離です。そして、彼らは結婚を約束しました。彼女は、通える限り彼の元に通いました。私の住む場所からも近かったので、いつかは会えるかもしれないという話までしていました。
ところが、彼の様子がおかしくなりました。どうやら彼が今住んでいる場所で、新しい彼女ができたそうです。結婚まで約束した彼女は打ちひしがれました。それほど、近い距離にいなかった私にまで伝わるほど、それはショックな出来事だったようです。そして、別れ話をしながら、彼は彼女に言いました。
「今の彼女と別れて、またそっちに戻ったらつきあってくれる?」
彼女は言葉を失いました。彼は自分をどれだけいい男だと思っているのでしょう。彼女はもちろん首を振りました。そして、彼らは別れました。
彼女はその後、別の友人の結婚式で出会った男性と結婚します。彼は誠実そうな男性でした。結婚式で彼女はこの世のものとは思えないほど、美人でした。本当になぜこの人は芸能人でもなく、こんな田舎街にいるんだろうと何度も思いました。
彼女の元彼の行方は知りません。いつかどこかで出会うことがあるなら、鼻で笑いたいと考える今日この頃です。彼の自信を砕いてくれるのは、どこかの素敵な女性であったらと考えます。あんな素敵な女性を袖にする彼とは、実に不思議な生き物でした。おやすみなさい。