女性の涙と旦那さんの夜
こんばんは。今日もお疲れさまでした。
彼女はどうしていいのか分からず泣き出しました。それはランチの出来事です。彼女は結婚して小さな女の子2人のお母さんでした。好きになってくれた旦那さんとお子さんの4人で20代にして、都内に小さなマイホームを持つ素敵なご家庭でした。
私たちはバイト先のコールセンターで出会いました。同じ時間を共有し、同じ目的に向かって突き進む仲間でした。家庭環境は違うものの、年齢の近い私たちはすぐにランチを食べる仲になりました。
彼女は人妻ながら、バイト先の社員の男性に恋をしたのです。私の目から見ても、彼女と男性社員は仲がよさそうに見えました。本当に、いつ恋が生まれてもおかしくない状況です。でも、彼は彼女が人妻だと知っています。
彼女は旦那さんとも仲が良い状況なのに、その男性のことも本当に好きになってしまったと言いました。彼女はいくら2人の子どものお母さんだと言っても、まだ20代の真っ只中でした。
彼女と男性社員の仲は、誰が見ても良いことは明らかなのに、それ以上は何も進みませんでした。毎日ただ仲のいい日々が過ぎて行きます。社員の彼から声をかけることはないでしょう。だって、それは茨の道なのですから。そして、彼女は分からなくなってしまったのです。この状況をどうしていいのか。
私たちは、一緒にランチを食べながら、その話を聞くことしかできませんでした。進めとも堪えろとも何も言えず、ただ彼女の背中をぽんぽんと叩くことで精一杯でした。
そんな日々が2ヶ月ほど経ったある日、彼女は妊娠しました。様子のおかしい彼女を旦那さんが毎夜慰めてくれたと言います。そして、彼女は吹っ切れました。お腹の子のおかげでしょうか?彼女の一番の人は、すでに旦那さんに戻っていました。
お腹の子が産まれて、私はバイト仲間と彼女の赤ちゃんを彼女の家に見に行きました。3人目の子は男の子で信じられないくらい小さくて、弱々しい生き物でした。そして、彼女の家は幸せの塊の匂いが溢れていました。
彼女が涙を流した日、全て楽になる選択をしなくて本当によかったと思いました。きっと、社員の彼も思っていることでしょう。もし、社員の彼が告白していたら、彼女は今違う人生を歩いていたのでしょうか?私の小さな頭では、今それを想像する事ができません。皆どうか幸せに。おやすみなさい。