裸の女Aの夜
こんばんは。今日もお疲れさまでした。
役者さんとはうまいものだと思います。本当はそんな人いないのに、そして彼らはそんな人ではないのに、その人だと思わせる術を持っています。
彼らが演じる彼らでない人々に、自分のボーイフレンドを重ねることがあります。姿形は違うのに、彼らはそこで、私の考えるボーイフレンド達と同じことを考えています。
社長であったり、素敵な家庭を持っているのに私と会ったり、堅い仕事についているのに裏では遊んでいたりと、そのシチュエーションはそれぞれです。
彼らを画面の向こうで感じながら、たまに涙したり、胸を締め付けられたりと忙しい私がいます。それは彼らではないのに、画面の中にいる役の想い人との関係を考えて少しだけ辛くなります。私の役は大抵悪者か、画面に顔さえ映らない裸の女Aです。
役者さんがうまく誰かを演じれば、演じるほど、私は頭の片隅でボーイフレンド達を思い出します。裸の女Aですら、今や私にはただの顔が映らない存在ではありません。そこでは描かれない彼女たちの感情をひとしきり考え尽くします。
裸の女AにはAの夜があります。彼らが想い人たちとハッピーエンドを繰り広げている頃、私たちはただひっそりとその男が去ったことをほんの少し悲しく思いながら、次の物語を探しはじめます。
次の物語でも裸の女Aかもしれません。それでも私たちはそれを探しています。そんなことをひっそりと思い浮かべながら今夜も眠りにつくのです。おやすみなさい。
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