サトラレない夜

こんばんは。今日もお疲れさまでした。

「サトラレ」という映画を知っていますか？自分の心の中の声が、他の人に聞こえる人間が生まれる世界の物語です。

この映画を見てから、時折頭に過ってしまうのです。今、私のこの心の声が目の前にいる誰かに漏れているのでは？と。

目の前の誰かの事で心がいっぱいの時も、目の前にいる人じゃない人のことを心の中で思い浮かべている時も、どちらも私にとって都合が悪いと思うのです。

ニッコリ笑いながら、釣れない態度を取っているくせに「大好き」なんて知られたくありません。

ニッコリ笑いながら、その手に応えているのに「他の人が過る」なんて知られたくありません。

目の前にいるこの人は、私の心の中を読まないで欲しいと強く願うのです。そして、目の前の人の心が読めないままでいますようにとも思います。

彼らが本当は私を好きであっても、私の向こうに誰かを思い浮かべても、きっと幸せな事などないのです。

私たちはお互いを知らないまま、ずっとこのまま、たまに出る「大好き」を本当とも嘘とも分からず、ただ手探りで唇を重ねていればいいのです。

心の中を無にできればいいなと思う事もあります。でも、それはもう少し後でもいいのです。今は時折心の中から溢れる「大好き」をこっそり伝えるだけでニッコリ笑えます。どうかこの気持ちが届きませんように。おやすみなさい。