同窓会の夜
こんばんは。今日もお疲れさまでした。
その夜は中学校の同窓会でした。東京で暮らす私にとって、そのメンバーに会うのは久々のことでした。マンモス校であった大きな中学の一生徒の私は、特に目立つ存在ではありませんでした。彼らの中に、私の事を覚えている人はそれほどいませんでした。
ただ、その中の一人の男性が私に声をかけてきました。中学時代はそれほど親しい人ではありませんでしたが、せっかくだからと私は彼と連絡先を交換したのです。
その時の私は、郷里に1ヶ月近くいることになっていました。その一つの夜に彼に連絡をしたのです。「会わない?」
彼はメールの文面で狼狽えているのがわかりました。「二人で?」「二人でもいいし、誰かいてもいいよ」
「ごめん、二人で会うつもりはないんだ」彼がこう言ったので、これは恋愛の始まりでない事を知りました。20代前半の乙女がちな期待もしていた私は少しがっかりしました。そうして、私たちは決して会いませんでした。
彼との話を、同じ中学校だった女友達にしていると、彼が二股をして、修羅場を起こした事を知りました。それは、あの同窓会に出ていたメンバーの間では、すでに知られた話のようでした。
彼が二股をした酷い男性だということもですが、私は彼に選ばれなかったことにもなぜかショックを受けました。
女友達は言いました。「よかったじゃん。あんな奴と食事に行かなくて」それは、明るく軽い言葉でした。
彼は今どうしているのか、もう私は知りません。噂に立てられた事はみんな忘れ、あの夜に出会った誰かと結婚しているのかもしれません。私の事はきっとあの二つ折りの重い携帯と共に忘れてしまった事でしょう。おやすみなさい。
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