ウサギの私とオタクの私の夜
こんばんは。今日もお疲れさまでした。
会社の人はきっと私がこんな人間だとは知りません。一人の人と付き合って、一人の人と別れて、それをただ短いスパンで繰り返していると思っているのです。男性を見る目がない一人のオタクだと彼らは思っているのです。
男性を見る目はないのかもしれません。でも、その沼を自分で望んでいる事も誰も知りません。一番面倒に見えて、私にとって一番面倒でない状態を選んでいるのです。
たまにバニーに戻りながら、沢山の彼らの顎を指で持ち上げる私を誰も見た事はありません。仕事ではうまく話すことができなくても、そんな時の私は滑らかに声を出します。
「キスしたいの?」「舐められたいの?」「触りたい?」
彼らはかわいい犬のように、そのまま頷くのか、そんな私の指を握り返すのか、私は彼らを知っています。どちらの彼らにも私は微笑みかけます。
きっとそんな私には耳が生えています。その時の私は、ウサギの私なのです。
ウサギの私がいつもいる私に私は安心しています。シンプルを何より好むはずの私ですが、彼女が入ればいつでも私は自由なのです。
彼女は今夜も私に話しかけます。
「年がもうすぐ明けるのよ。新しい彼はいらないの?」
彼女の声を聞きながら、私は暗闇の中でひっそりスマホを開きます。この寒い冬を暖めてくれるのは誰なのでしょう?それは、私を?ウサギの彼女を?おやすみなさい。
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