車輪の下
教育者に。そして人の親も、子どもを取り巻く全ての大人達へ。
指導者の成すべき事があるとしたら、それぞれの可能性を引き出す事ではないでしょうか。 道を踏み外した方を決して絶望させない事。車輪の下にさせない事。
余生はそこに尽くして。主人公のハンスの身を案じた靴屋の親方フライクが彼の父に放った言葉。
「教師の連中も、この子をこんな目にあわせるのに手をかしたわけですよ。それにあなたとわたしも、この子に対していろいろと手抜かりがあったのでしょうね。」
ヘッセ自身の過去との決別と浄化があり、その煩悶の中に在る人間に勇気を覚えさせる力のある名書だと。