挑戦の夏2

次の日は1時半に起き2時に出発となった。
本当は十分に睡眠を取って、山小屋の前から日の出を見てから登り始めたかった…しかし3対1で私の議案は否決された。

山小屋を出て、さて頑張って登るぞー!と進めた一歩から崖のようなコースで、上を見れば全くどんな所を登って行くかも真っ暗で見えず、スタート秒で絶望感に心が折れた。が、登るしかない。七合目の山小屋からの登山者にどんどん抜かれながら、3歩進んでは呼吸を整え、なんとか進んではいってるが、自分が今どの辺にいるのかさえ分からない。

九合目に差し掛かった辺りで、根気強く私に合わせて登ってくれていた娘から、降りる?の言葉が出た。ずっと下に山小屋の明かりが見えて、ちょっとづつでも随分登ったんや…降りるにしてもしんどいのは一緒やん…でもめっちゃしんどい…色んな思いがくるくる回ったが、ここまできて諦めるという選択はもうないのだ。

薄っすら夜が明けてきて、頂上が直ぐそこに見えていても、遠い。
ご来光は頂上で見ることはできなかった。大きな岩に座って娘と見る富士山からの日の出。それでもさぞや感動的と思われるかもしれないが、もはや私は無の境地であった。ちょっと悟りを開いたかもしれない…

太陽が昇ってずいぶんしてから、やっとのことで頂上にたどり着いた。さすがにその時は嬉しかった。ちょっと休憩。と思って座った道の端っこで、寝っ転がってる外国の登山者と一緒に三角座りで寝てしまった間に、娘はお鉢巡りに行っていたようだ。ホントは私も行きたかった。

眠ると、少し体力も気力も、なぜか高山病も回復し、頂上滞在3時間(半分寝てたけど)浅間神社にお参りしてご朱印帳もいただき、堪能して下山を始めた。

もちろん下りだから楽勝!ではなく、砂利道をひたすら下るのは、足にめちゃくちゃ負担がかかる。下りは残り少ない体力との勝負。何とかヘロヘロになりながらも下山。一緒に登ってくれ、誤情報と励ましの言葉も絶えずくれた娘に感謝しつつ、無事私の富士登山は終わったのである。

この夏の挑戦で気付いたこと。
自分の限界は自分で思っているより、まだまだ先にあるようだ。

下山して1週間は、筋肉痛と疲れでしんどかったが、それ以降は富士山でデトックスでもしてきたかのように、全てにおいてスッキリ調子が良くなったので、驚いた。

長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださった方、ありがとうございます!

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