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飲食店未来学100:女性より怖い飲食店の開業②~開業すれば後は何とかなる

成功する開業にするための落とし穴シリーズの第2弾です。

どうして開業すれば何とかなると思うのか

できるだけ急いで1日でも早く開業したい気持ちが強い
自分で経営した経験がない素人の方ほど、「開業=儲かる」と思い込んでしまう。実際飲食業界では40年前まではそうでしたが、現在は周到に準備して、できる限り吟味しないと、なかなか儲からないのです。

十分に掘り下げて検討するのが苦手なのでつい後回しにしてしまう
慣れない開業準備作業の手順は、面倒で本当は逃げ出したいところ。でも店を開業するためには、「決める」「手続する」「検討する」がいっぱい。

しかしこうなのです。まだ開業して金食い虫の実店舗を持たない期間中だからこそ、気楽なのですよと言いたい。

なぜ事細かく決める作業を積み重ねるのか。それは、「儲かるしくみづくり」を何重にも張り巡らせるためのしかけづくりをしているからです。

開業準備が十分でない箇所は開業後に手直しすればいいと考える

★店内の設計図の検討が不十分
★メニュー構成や個々のメニューの商品力や売価の検討が不十分
★食材の原価計算が不十分
★従業員教育が不十分(ハウスルール、料理説明、機器の取説など)
★FLRUコスト率の目標設定がない(食材原価率、人件費比率、家賃比率、水光費比率)

これらすべてが店舗の利益を高める行為です。それをおざなりにしても決して儲かるところまで行きません。売上金で入った後に、持ち金まで誘って一緒に支払いで出てゆき、貧乏飲食店になるのが落ちです。

具体例~運転資金はなくてもいいか

飲食店の開業計画で、設備資金のほかに必ず確保して欲しいのが運転資金です。このお金が開業月でなくなってしまえば、翌月の支払いに支障が出ます。

こうとらえてください。

採算分岐点売上高以下の売上時~1円も使えない(追い銭あり)
開業2月目~6か月目くらいまで。(最も売上が低い月は4か月目あたり)この期間の運転資金(自己資金、借入金)は、まさに海中での酸素ボンベ。輸血の際の血液に相当します。10人中9人は運転資金の枯渇で経営を断念します。また、借金一杯の開業後に、追加融資を申し込んでもどこも貸してはくれません。前もって計画的にためるか借りるしかありません。

採算分岐点売上高と同じ売上時~1円も使えない(追い銭なし)
運よく収支収支トントンであれば、まずはラッキーです。毎日毎日レジに何万円、何十万円とお金が入ってきても、1円も使えません。ここで流用すると、その月の人件費の日払いや食材業者に支払うお金が足りなくなります。

採算分岐点売上を超えた売上時~超過分の10%が使える上限
月商200万円売っても採算ラインが180万円であれば、上回った20万円の金額の10%額の2万円しか使えません。(この10%は最低営業利益率の金額)

そんな馬鹿なと思うでしょうが経営実務では真実なのです。この実感がない経営者の人が、売上金を使い込む、消費税の預り金を使い込んで、もう一段さらに貧乏になります。(借金が増加する)

具体例~食材原価率計算は大雑把でいいか

店舗規模やチェーン店規模が大きくなればなるほど、この自社商品の原価計算は緻密でなければなりません。実際よりも低い原価の誤差の場合はまだいいのですが、食材高騰が常態化した現在では、上乗せの誤差の1~5円が1日に何十倍、何百倍、月で何千倍、年で何万倍にもなります。

儲かるしくみの第一歩は原価率30%で売価を決めることより、原価計算が正確なことが大切。さらに、決めた売価で売れる条件を自社商品が持っているかどうかが大切です。(ガストの1980円のコース料理は見た目がしょぼく美味しく感じませんから良い結果には結びつかないでしょう。まだデニーズの設定の方が良いと思う)

個人の開業についてノウハウをもっと知りたい方はこの本を参考にされてください

新刊本です。
昨年秋から1年間をかけて著作に励みました。恐らく15度以上、20度以上読み返しながら正確に伝えるための言葉選びや表現の修正、図の挿入を行いました。よろしければぜひご覧ください。

この本は飲食店専門コンサルタントとして35年間の飲食店の実務支援を行った経験と知恵が満載。

特に開業予算を少なくしたい、開業を間違いなく成功させたいという個人の開業者を対象にした記載をしています。

 本文の説明と別個に、役に立つコツや提案、チェックポイントなどを各処に織り込んでいます。初めて開業をする方にとって本当に役立つ実務ベースの総合開業本の内容です。(すべて現場スタッフと仕事をして得た知恵を核に記載)

はじめに
第1章 開業成功の条件
第2章 店舗コンセプトを決める
第3章 創業計画書の書き方
第4章 開業スケジュールを作成する
第5章 資金調達のコツ
第6章 店舗を選ぶコツ
第7章 内装工事業者を選ぶ
第8章 厨房設備業者を選ぶ
第9章 その他の業者の種類と選び方
第10章 開業メニュー制作
第11章 従業員採用とハウスルール
第12章 開業前チェックをしよう
参考資料 料理の原価計算ノコツ
おわりに変えて
詳しくは、「試し読みページ」をご覧ください。各章の中の記載項目をご覧いただけます。

著者 宇津宮 正博(うつみや まさひろ)



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オードリー7|🥕飲食店研究家
飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします