たべ塾:宅配弁当の価格設定が難しい訳
消費税が8%から10%になってから、弁当の宅配店は価格づけに本当に苦しむようになりました。
食材費も毎年毎月上がり、おまけに消費税10%込みの売価で販売しないといけないことはまさに「苦痛の条件」になります。
お店に利益が残り、その利益が増えるようなヒントになればと思います。
宅配弁当にかかる基本経費・利益とは?
(1個1000円弁当の場合)
●弁当の食材費合計 35%(30%~35%) 350円/個
*個人店の場合は40%位と考えてください。
仕入価格もやや高く、価格が安くて量も多いため。
*1千個単位、1万個単位でないと30%は切れません。
●包材費 6%(5%~8%) 60円/個
弁当容器(身・蓋)、ネーム入り完封箸、輪ゴム、ビニール袋
*ミニおしぼりをつけるお店もあります。
●配達経費 5%(5%~7%) 50円(仮設定)
配達人件費(パート時給が多い)・車両費(ガソリン代、修理
代)・携帯電話料・領収書・印紙など
*3か月合計配達経費÷3か月合計販売個数=1個平均コスト
が出せます。出さない場合は50円で仮設定しましょう。
*配達コストアップ要因
・店舗から離れた場所に配達する
・ビル内の配達が多い
・500円弁当1個でも配達する
●その他の経費 4% 40円(仮設定)
車両保険料・労災保険料・食中毒保険料・宅配ちらし製作料
*車両の種類や台数、ちらしがカラーか2色刷りでも違います。
★弁当本体の総コスト・・・・ここまでで「50%」かかります。
●人件費 *何人で1日何個を製造販売できているかで違います。
私が過去に支援したお店では、
10% 100円/個(仮設定)
●水道光熱費 7% 70円/個(仮設定)
●その他経費 12%(10%~15%) 120円(仮設定)
●消費税 10% 100円/個
★弁当本体とその他経費の総コスト・ここまでで「89%」かかります。
残りわずか11%が利益になります。
実際10%以上の利益が残せたら立派な弁当店ということになります。
弁当事業は「ねずみ算」と同じです。
仮に利益が10%でも、
500円弁当が1000個売れたら・・・・5万円の利益
〃 1万個 〃 ・・・・50万円の利益
〃 10万個 〃 ・・・・500万円の利益です。
売れる弁当の3価格帯
●日常的弁当価格帯 400円~650円
特に450円・480円・500円・550円・580円
600円・630円・650円の商品が多い。
●ちょっぴり贅沢な弁当価格帯 700円~1,000円
2種盛り・大型容器使用・ボリューム多め・幕の内風多種類入り
、会議用弁当(並)など様々です。
●ぜいたく弁当価格帯 1,200円~3,000円
使う食材のこだわり(名産食材の使用)弁当、高級会議弁当用
薬品会社の病院差し入れ用(1500円~2000円)など
宅配弁当の今後の課題
「いつまで自店で宅配を続けるのか?」 なのです!
経費がかかりすぎて利益を圧迫してきていますし、今後の人材確保も
一層難しくなります。
時代の風は・・・宅配業務は専門業者に任せる・・・仕組みに
ドンドン変わると思います。
出来立て弁当を届けるサービスは高級な有料サービスの時代
あるお店に、テイクアウト弁当が600円なら、宅配弁当は150%価格の900円でちらしに2重価格制を実施したらいかがですか?と
提案しましたら、今は売上落としたくないからテイクアウト価格(現状)
でいいとのご返事でした。
ウーバーイーツの上代(販売価格)からの35%をはねて600円を確保するためには、
600円÷(100%-35%)=923円 で売ることになります。
よって、大まかには、宅配業者に委託する場合は「150%価格」で
宅配することを念頭に置いて検討していただければよいと思います。
宅配料金設定を別に行わない場合は、宅配受注価格が1000円以上とか、1500円以上とかに制限を設ける必要があります。
この従来型の仕組みにでは、1個しかいらない人でも余分に注文するでしょうか?
例え500円の弁当でも、330円加算されても、自宅まで持ってきていただける便利さはありがたいサービスと思います。
徐々に新しい形の宅配サービスが浸透すると思います。
心配なのは労働基準局が個人事業者扱いしている人たちの労働環境の
悪さをどう見るかです。
自営業者だから事故を起こしても保証がない、配達ノルマが過大過重、商品の安全性が保障されないなどがちまたで噂されています。
明日の弁当業界の発展のための「未来ビジョン」を是非、個々で
お考え下さい。
(了)