たべ塾:売れる弁当・生き残れる弁当店の基本条件とは何か?
弁当業は飲食店経営よりも簡便でシンプルな業態です。
規模が大きくなればなるほど、高度なノウハウが必要になりますが、
300食~500食/日位までは、何とかまじめに取り組めば、
やってゆける世界です。
(800食以上になると仕組みがないと難易度が一挙に上がります)
しかし、飲食店から転換して弁当店を始めたり、
小さなテイクアウトショップを弁当店に変えたりして、弁当店は絶対数が
増えてきた上に、
コロナ禍で一般飲食店も弁当事業に新規参入してきており、
弁当業界は、テイクアウトや宅配販売で、いまやかなりの過当競争
業態になっています。
よって令和3年は弁当業界が自然淘汰されると思います。
■弁当店が生き残れる条件
1、税込価格販売では「安く見える価格設定」がポイント!
中心価格は、王道のワンコイン価格(税込500円)が中心価格です。 これより安い弁当の地域、客層かどうか?を判断し、
これより高くても売れる地域、客層かどうか?も判断します。
全体の商品価格分布が、500円を頂上にアーチ型に価格設定が出来て
いるかどうかです。
(例えば380円~680円までの価格帯があるが、480円~550円の商品群が一番多いとかです)
2、食後の満足感がどれくらいか?自分で1食食べて検証してみる!
今の弁当は、ごはんの分量が少なくなった分、食味の良いお米を使う傾向にあります。ごはんの重量が200gを切って切る弁当もあります。
また、煮物や、揚物、焼物、和え物などの副菜が食材の値上げの度に
簡素化されてきて、中には大さじ1杯程度の簡易副菜が2種類のみ
という弁当もよく見かけるようになりました。
ボリュームのあるメイン料理(おかず)+ごはん多め+副菜少なめ2品
が今の主流ではないかと思います。
基本的には、ごはんが美味しく昼食としてのエネルギー補充に
叶うボリュームがあり、主菜の見た目とボリューム感と美味しさがあれば、
売れる最低条件は満たされると思います。
3、シンプルならメインの料理のボリュームが「見栄え」になります!
全体が簡素な盛付けになっても、
食物の三原色(緑、赤、黄)が入ることで見た目の美味しさは格段に
上がります。
野菜で出す色味を置き換える場合は、カラーホイル、ふりかけ、小梅、煮卵半割り、ソースやタレの色で補色します。
4、メイン料理以外は「ライス」でボリューム感を出す!
昔ファミレスの研究をしている時の1人前のプレートライスは、
220g~240gでした。弁当は小盛り計で180g~200gだと思います。大盛り系で250g~350gと思います。
お店によっては、「大盛無料」(しゃもじ1杯50g~70g)です。
同じ弁当価格でしたら、
「農家直買い」のブレンドしないお米を使うと一番美味しい弁当になる
と思います。
美味しいお米を使った弁当は支持者が増え続けます。
ハンバーグが大きい、唐揚げが大きいなど、他店との差別化を明確にする為には、「自店仕込み」又は、業者加工で「ポーションカットやグラム数の
指定」したものを仕入れないと、
どこでも同じ形・同じ味のメーカー既成品の使用ではなかなか差は
出しにくく、やがては飽きられてしまいます。
*抑えのメニューの食材として使うことはお勧めです。
5、宅配をしてくれるお店かどうかは「大きな差」になる時代!
もはや居ながらにして配達料金(1例・320円)を加算されても
「持ってきてくれる便利さ」が大事になってきた時代です。
この傾向は、高齢者の増加や、独り住まいの増加、一人職場の増加、
雨天・夜間の外出の身支度の面倒さなどを考えると、
もっともっと利用拡大すると思っています。
6、食べたい弁当が5種類以上ある!
自店での弁当がこの先も独占営業してゆくためには、こんな視点でも
商品開発の際には留意し、全体バランスを考慮する必要があります。
①ボリュームがジャンボな弁当がある
②女性専用ご用達向き弁当がある
③ピリ辛~大辛などの辛口味の弁当がある
④煮物が多く入った弁当がある
⑤煮魚料理の弁当がある
⑥麺類の弁当がある
⑦カレー、ビーフカレー、海老ピラフなどのライスメニューがある
⑧丼メニューがある(肉・魚介・野菜)和風、洋風、中華
⑨サイドメニューに唐揚げ、ポテトフライ、野菜サラダなどがある
7、季節限定弁当がある
四季それぞれに季節限定の食材があります。
旬の食材には3つの分け方があり、
「先」 ・・・走りもの・・・価格が高いが喜びはひとしお高い
*高級弁当店は感動いっぱいのここのものを使います
「中」 ・・・盛もの・・・・旬の盛りのもので、安くて多く出る
*多くの弁当店はここのものを使います
「後」 ・・・残りもの・・・過行く前の名残惜しき味わいのもの
*地酒に合いそうです。
■弁当店は食材原価率管理が欠かせない業態です。
弁当店では、仕入が10円高くなると売価が30円上がるという考えで
価格にシビアにしないといけません。
①毎日弁当を廃棄する
仮に1日に500食生産するお店が、弁当10個を毎日廃棄すると、
月間に300個(原価が半額とすると250円)では、
月間75,000円を捨てており、年間90万円の純損失です。
②毎日弁当を半額で完売する
一見無駄をなくす正しい行為と思われがちですが、
500円(容器込み原価250円、粗利250円)を
100個値引きなしで完売すれば
・・・・売上高50,000円 粗利益高25,000円
容器込み利益率→ 50%
100個のうち20個を半額販売すると
・・・・売上高45,000円 粗利益高20,000円
容器込み利益率→ 44.4%(5.5%マイナス)
弁当の食材原価35%~40% + 容器6%=41%~46%の
時代だと認識してください。
「弁当店=ちりも積もれば山となる商売」なのです。
自店がもし弁当事業を取り入れるならば、
強みをどこに持ってくるかで売上が大きく変わります。
是非ご検討ください。
■弁当の業務上の種類を知っていますか?
1,職域弁当・工場弁当(直納弁当)
①日替わり型・・・・生産数量が多い 1000食~10万食
②グループ型・・・・毎日定番5品とグループ別弁当5品の
併せて10品の弁当を生産する(一つの例)
*弁当30種類を3グループ化~4グループ化して運用する。
*状況に応じて「季節弁当」を織り込んでゆく。
2,委託弁当(販売先が手数料を取って代行販売する弁当)
①スーパーマーケット・デパート
②道の駅・産直マーケット
③多くの販売ショップ
3,テイクアウト弁当(直売弁当)
①予約なし
②予約あり(個数が多い場合)
弁当業界は今後ますます成長しますが、
●利益を人件費に取られ過ぎない工夫をする
●食材比率、容器代比率を下げる工夫をする
●自社特有のたれ、ソース、ドレッシングを持つ
●新商品開発
●自店の宅配システムをどうするか?
などの諸問題を解決する必要があります。
お問い合わせは、オードリー7まで
utsumiya.masahiro@gmail.com (メールでのご質問は無料です)
(了)