たべものコンサル日記R9:後継者候補のあり方は?3者3様だった現場報告!
何稿か前に後継者になることは、結構大きな決心が必要なことを投稿しました。
今後後継者の道を歩まれる方の参考になればと思い、いくつかの事例を
ご紹介して共有したいと思います。
■事例1:調味料製造会社の後継者の方が、傘下に
なる飲食店の改革責任者を始めた!
20代後半の有能な知性と行動力を備えた好青年です。
本社の改革も先頭を切って行い、次世代型の会社づくりが、辣腕をふるって進んでいるように見受けられます。
私はその当時、傘下になる予定のレストランに少し関わっておりましたが、
昨年末に、彼の父親の調味料会社の代表者からこのように言われました。
1,「私も息子も飲食業界のことはわかっているつもりなので、
一連の改革は私たちの自己責任で実行します。」
2,「息子は、レストランスタッフを本社の調味料会社に吸収して、
同じように1日8時間労働、完全週休2日制を実施すると
言っているので、実行させる予定です。」
3,「相談事があり必要な時は、スポット契約で1回面談いくらでして
欲しい。」
大まかにはこのような内容でした。
このレストランは、先代社長さんが引退することを期に、共同経営者の
会社が買い取って、改革を行ったうえで本社に吸収する考えの様です。
あくまで私の経験則からの実感ですが、
①何十年と一人の古参経営者の方が経営した飲食店は、
すべてのノウハウが経営者1人に「生きた憲法」として集約されており、
仮に専従ではまっていたとしても、改革することは至難を極めるほど
大変になるとみております。
②また、現経営者でもなく、次期経営者でもなく、その息子さん(20代)
の方と、まだ個人的な人間味の体験も、親しみも、信頼関係の構築もない
レストランの従業員さんの想いや立場をどこまで相互に理解して、
協力し合えるだろうかを思うわけです。
いきなりビジネス度100%で切り込んでいって、
同意が取れて協力してもらえるかどうか、非常に疑問を感じます。
③新たな経営母体会社の威光、経営者たる父親の威光、従業員に給与を
支払い、協力業者さんに発注する資金力がある=お金の力 によって
動いている仕組みを、
すべて自分の力で動かしていると勘違いしているのではと懸念します。
④一途に進む息子さんは輝いており、本当に素晴らしいと思います。
しかし、性急に動いた方がうまくゆく場合と、
じっくり攻めて積み上げる方がうまくゆく場合の2つを見極めて、
「今は性急策を取っている」とは、さほど思えないのです。
飲食店でアルバイトしたり、少し関わって計数データをかじった程度では、
飲食店経営の困難さの足元にも及ばないことを知るべきだと思います。
また、
家内工業的な風土で仕事に従事してきた従業員さんたちは、いきなり
高度な目標と過大な利益目標を要求されても、
急には対処のしようもありません。
無用な混乱に巻き込むだけではないかと心配をしました。
私にしても、
一連の流れが最初の所から関わっていることなら、
適正かつタイムリーな助言ができますが、
「都合の良いところだけ適正な助言をしてくれ」のご要請は、
やり方を間違えた時の為の「問題解決」を求めてくる
スポット契約 →都合の良い尻ぬぐい契約
であって、
最初から関わらせずに、自分達の好きなようにやったうえで、
困った時の解決を求める関わり方を望んでいると判断をしました。
このクライアントの方とは、その後、契約を保留させていただきました。
■事例2:2代目候補が倒れて入院後、自宅療養中!
そして、現場復帰へ!
多くの場合、後継者候補として、20代の前半、後半で事業経営者の
親から呼び戻されたり、30代で親の急死で仕事先を辞めて、新たに社長職に就いた事例を多く耳にします。
この方は30代中半で、高齢の70代の健康な社長から高齢者候補として呼び戻された方です。
当然に仕事内容は180度違う仕事です。
ある地方のスーパーの経営者の長男さんです。
弁当の事業を任されて、研修も進んで行き、取引先ともコミュニケーションをとる「頑張り屋さん」です。
入社して数ヶ月経った頃の彼は、1日18時間働いてがんばったそうです。朝3時~夜9時までです。
超過労で半月間入院、半月間自宅療養と聞きました。
もうすぐまた、現業へ復帰されるようです。
私は、その父親の経営者の方に言いました。
「改めて、無理がかかり過ぎない『仕組みづくり』をしたうえで、
リスタートされたら如何ですか?」
父親の経営者曰く、
「息子は、よく知らない人間からものを言われるのを嫌う性格」
だから、それはできない!」の一点張り。
私は、
「もう一度、過労で倒れるとますます後継者として自信をなくされるから
手を打つべきと思います」
と再度説得したが、
「弁当部門が活性化するとスーパーの集客がいいから、延期できない!」
と、ここで、商売っ気が出てきました。
息子の人生とスーパーとどちらか選ぶことになると
一番困るでしょうね・・・・と、思った次第です。
息子さんの現役復帰後の早い機会に改めて会って、
事業のロードマップ作りと弁当事業のノウハウすべてを1年間くらいかけて
教えてあげたいと思った次第です。
■事例3:車は買えても、事業で生かす機器は
なんで買えないのか?!
魚の卸をしている若き経営者の方です。
この方も父親の逝去で後継者になられた方です。事業意欲満々です。
体を酷使することも、なんとも思わず頑張る30代の方です。
良い場所の家に住み、良い車の乗っています。
年商が何億円かの会社の若き経営者でも、
自分の車は400~500万円かけて購入しても、事業で投資するお金は
「おっかなびっくり」です。
まあ、私が少しお話したのは「キャスの冷凍装置」です。
小さくても1500万円以上はします。
(*10年償却で120回払いで12.5万円/月+金利です)
でも、これで固めた冷凍商品は、「最高品質」です。
小さな飲食店を新規開業しても、初期投資は2000~3000万円
かかるのが普通です。
今後の市場性と売上高づくりを考えると、
考えようによっては、
「自社が圧倒的優位に立つための投資」であれば、
理解してほしいと思うわけです。
まだ、この会社には、長期経営計画がなさそうに思いました。
決して先を考えていない人ではなく、
「気づかされていないから、わからない」のです。
今後もひたすら、根気よくじっくりと地域支援を行なおうと
思っています。
何がどうあろうと、基本的には「若者が好き!」ですから。
(了)
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