食べ塾:無駄なく活用!利益を増やす 適正在庫の考え方ご説明します!
私の座右の銘になっている独立初年度に、基礎の知識を教えて
いただいた商業界平成元年8月1日発行の第5刷 (*今はもう発行なし)
井上恵次著「レストラン用語辞典」には、
「安全在庫」safety stock の項での説明で、
『メニューの品切れが起こらないように適正な在庫量を持つこと(中略)
過剰在庫をなくし、7日間~14日間安全在庫を持つこと』とあります。
(*井上恵次氏は、九州の福岡で日本で最初のレストランチェーンを築いた
レストランロイヤル(株)(=ロイヤルホストの前身)の東京総支配人
から社長さんになられた方です)
食品仕入れのコツと安全在庫=適正在庫がいかにあるべきかを、
私なりに説明します
■令和時代の食品仕入れの前提条件とは?
1,店舗規模に必要な「冷蔵庫収容力」「冷凍庫収容力」に縮小する考えに
切り替えて無駄ができにくい仕組みに変える
保管場所が大きければ、80%~90%のキャパ迄埋めたくなるのが
人情です。
多く在庫があれば安心!は、これからは「ムダ遣い」と思うべきです。
改めて、適正在庫量を決めなおして、その分量しか入らない
冷蔵冷凍機器に順次買い代えると、仕入れ資金の圧縮にもつながり、
廃棄ロスも出にくくなると思います。
2,仲が良くても仕入れ担当者と「慣れあい関係」にならない!
よく見かけるのは、
店内が多忙な11:30~13:30に納品にきて
納品チェックもなしに、めくらサインをする 光景です。
・・・後で見ると、賞味期限の短いものとかが紛れています。
(*納入側は少し売りにくい商品をチェックの甘い店舗に納品
するようになります)
こういう行為は、経営者の方が許しているはずはありません。
3,月末3日前から月末までの分は、翌月1日伝票にジャンプさせる
飲食業界の悪い習慣は「慣れあいの温床」です!
「私は会社の支払い負担を減らす貢献をしていますよ」と言いたい
でしょうけど、
・・・すでに、今月の売上に関係ない「先月仕入れ分が1日付ですでに
のっかっていますよ!」、貢献でも何でもありません!
ということなのです。
(*もしかすると、ジャンプ志向のお店には、金利分をのせた高い
納入価格設定になっている場合があります。)
(*以前のヒアリングでも、翌月末支払いのお店より翌々月支払いの
お店の方が、納入価格が平均で3%~5%高くなっていました。
理由はもう1月飛ばすから金利負担ですという説明でした。
4,定期的に見積もりを取る、支払いサイトを短くする、仕入商品の大半を
1社にまとめることで、仕入れ価格の圧縮を図るようにする!
1年に1回定期的に見積もりを取る、必要に応じて相見積もりを取る
ことは、とても大切なことです。
行ってみれば、仕入れにずぼらなお店ほど「高買い」をしていると
思ってください。
翌々月5日払いを5日間縮めて、翌月末支払いにするだけで、
全仕入れ価格平均で、「3%」価格が下がったお店もあります。
◎仕入金額=取引金額別に、業務卸業者さんは、自社ランキングを
A・B・C・Dの4段階でつけているところがありました。(例)
Aランク 月間平均100万円以上
B 〃 〃 50万円以上
C 〃 〃 20万円台~40万円台
D 〃 〃 10万円以下
誰が定期訪問するか、慶弔ごとに対応するか、金額はいくらかまで
ランキングで違うことになります。
■適正在庫の考え方1:基本は「適正在庫リスト」
づくりです!そして適正在庫<日数>を決める
きめ細かでスピーディな物流システムと、高度に性能が上がった
ストック用の冷蔵機器・冷凍機器に変わりましたので、
30年前の7日間~14日間という「安全在庫量」の目安が、
私の考えでは、今は3日間~5日間で十分かと思います。
(*お店によっては、未だに10日間くらいを基準にしているところが
あります)
適正在庫リスト作りでは、厳密に「平均日商に必要な3日分(又は5日分)」の商品別在庫規定数量を決める必要があります。(リスト化)
(*これをきちんと守る方法は唯一・「毎日棚卸をする」ことです)
(*2週間やったら1年間できます。かえって把握できて便利です)
■適正在庫の考え方2:配送ピッチの短い・長いで
シビアに仕分けする!
●毎日配送で来る(前日注文・当日注文)
生ビールの樽などはストックは予備1日分で良い。
●週に2~3回定期配送で来る
来店客数の変動が50%以上あったとしても、3~4日間のストックが
あれば盤石かと思います。
●週1回、又は送りで来る
7日間~半月間のストックになるかと思います。(箸・弁当容器など)
<過剰在庫の悪い理由>
●鮮度が落ちると美味しくなくなったり、傷んだところをカットして
目減りしたりします。
●何よりも、貴重な食材を冷蔵庫・冷凍庫に
”1万円札”を何枚も寝かせることになります!
お金を生かさない経営になることです。
(*高級焼肉店やステーキハウスだけの問題ではありません)
■適正在庫の考え方3:鮮度劣化しやすいかどうかで
仕分けして、在庫規定数量を決める!
●鮮魚類・生野菜類
入荷有無や品切れ有無もありますが、週に2回~3回の仕入で良いかと
思います。刺身類は、真空パックのフィレの冷蔵タイプがかなり普及
してきています。(*魚は熟成仕上げで最大7日間使えるとのことです)
●日本酒・焼酎
日本酒は最大開栓後1か月間ですが、7~10日間を過ぎると少し
劣化してきます。
焼酎は1年間の劣化度が5%くらいと聞いています。
開栓後の保管は使い切るまで常温で大丈夫です。
生ビールは樽の開栓後1週間で使い切るのが良いと聞いています。
お酒も美味しいものは「鮮度」があると言うことですね。
■適正在庫の考え方4:ロットにより納入価格が
大きく変わる場合は、ロットで仕入れを考える!
マツイカ1ケースとか、タラバガニ1ケースとか、食品でなくても、
割りばし1ケースとか、使い捨ての弁当箱1ケースとか、
すべて「1袋単位」から入りますし、お店に置けない場合は、
取引き先の「預かり管理」もありますが、
基本的に「融通が利くほど、ちゃんと稼がれてる」と思ってください。
(*私も10年以上食器の納入業者さんをしていましたから、そこんところ
は、よくわかります)
いつも自店の今の消費個数により、どの数量単位での仕入れ方がいいか?を、
自らチェックすることが重要な仕事のノウハウのひとつになります。
この投稿が今後の利益の創出のヒントになることを願っています。
見方を変えれば、
店舗と売上高の関係も見直しができますし、
事務所の大きさと関わる人数の見直しも同じ線上にあります。
何よりも、
遊び心で「自由に想像してみる」ことに尽きます!
(了)