キリンハートランドビールと炭火焼ハンバーグ店Roins<ロインズ>
ハートランドビールがビールメーカーをアサヒからキリンに塗り替える1本になった
当時、九州管内で数百店舗を有するファミレスチェーンのこの企業は、私が10年間食器の担当者としてお世話になった会社です。飲食店の開業コンサルとして独立して数年後に、古くなった旧来の店舗を新しい業態開発店として活かしたいとの要望で、引き受けることになりました。
客席数150席。国道10号線に面した、有効駐車台数40台の立派な店舗条件のお店でした。(今は存在しません)
私が目をつけたのは「炭火焼ハンバーグとステーキ業態」。調理と提供スタイルのお手本はハングリータイガー。
ラグビーボール状のハンバーグを客席でステーキナイフで縦割りして鉄板に被せ、ステーキソースをドバっとかけて、ジュワッと飛び散るあれです。当時はまだ広まっていない方法でした。
接客サービスや焼き上げ感は、さわやかさんをお手本にしました。
●大阪や東京で1日6店舗のハンバーグを食べた
2泊3日でハンバーグを食べまくりした。以後2か月間はハンバーグは体が受け付けなかった。執念の食べ歩きを敢行した。
●自家製&本格炭火焼の肉厚ハンバーグが誕生
3週間の試行期間を経て、念願の美味しいハンバーグが誕生した。配合の基本はこの会社の本社の研究室から頂き、それに改良を加えた。和牛のケンネン(真っ白できめの細かい上質の脂の塊、焼肉店やすき焼き店で見ることもある)のミンチを配合して旨味アップを行った。
ねらい目は女性客層と考えて、おしゃれで口当たりのさわやかなハートランドビールをこの店舗単独で導入した。
当時は、このファミレス全店はアサヒビールが納入しており、まさにくさびの一撃。数か月後には、全店がキリンに置き変わった。メーカー間競争は実にすさまじい。当時の幹部担当者は、ビール瓶1本で純利益が「1円」出ればいいと聞かされて、これもびっくり。いったい何本生産しているのか。
初年度年商が前業態より200万円落ちて涙ながらに1年余りで閉店
前はこの会社のファミレス業態での年商が1,200万円。これを1,500万円にしてみせると意気込んで引き受けたが、結果は1,000万円。自分としては、立地が良く集客力もあったお店ですが、ハンバーグとサーロインステーキ、フィレステーキのほかに、オーナーの要請で焼肉(US牛)もすることになり、何屋かわからなくなる煩雑さが多少なりとも足を引っ張った感があり。
店名は、サーロインとフィレ(別名をテンダーロインという)を併せて、2つのロインで、「Roins」(ロインズ)という店名でした。当時はライオンズという野球チームがあり、似てますねとよく言われた。
今でも時折このハートランドビールを見かけると、懐かしくなり購入しています。
開業費用を5,000万円もかけたお店は、トップの意向で1年余りで閉店に。
私が月刊誌に取材に答えて、九州に10店舗は展開したいと言ったことが気に障ったらしい。
今となっては、ビールだけに、泡となってほろ苦い思いだけが残ったハートランドにまつわる思い出です
(了)