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飲食店未来学95:デリバリーピザ業態の業態破壊が進んでいる

昨年夏以降のピザ業界の動きがおかしい。特に業界1位のドミノピザが大分市に進出してから、いつものやり方から一転して、一挙に過当競争の世界になってきた。

東京商工リサーチさんの記事をまず見ていただきます。(2023年12月)
(一部省略)

コロナ禍に急成長した「宅配ピザ店」の倒産が急増している。 2023年(1-11月)の「宅配ピザ店」の倒産は13件(前年同期比116.6%増)で、前年同期の2.1倍に達した。これは「宅配飲食サービス業」の集計を開始した2009年以降、最多だった年間6件(2017年、2018年、2022年)を上回り、過去最多を大幅に塗り替えている。

「宅配ピザ店」を含む「宅配飲食サービス業」は、コロナ禍の巣ごもり特需を追い風に市場を拡大していたが、コロナ特需を当て込んだ新規参入が相次ぎ、競合が激化した。

さらに、新型コロナ5類移行の反動減や材料費高騰人手不足難しい価格転嫁などの厳しい経営環境に巻き込まれ、2023年(1-11月)の「宅配飲食サービス業」はすでに64件(前年同期比128.5%増)発生している。

 宅配ピザ店では5月、関西を中心に人気宅配ピザ店「シカゴピザ」を展開していた(株)シカゴピザ(大阪府茨木市)が、人件費高騰などの煽りを受け、約15億円の負債を抱えて破産した。「宅配ピザ店」倒産のうち、負債1億円以上は46.1%とほぼ半分を占めた。事業規模にかかわらず厳しい状況にあることがわかる。

 2022年後半からの原材料費の上昇や価格転嫁など、「宅配ピザ店」の屋台骨は揺らいでいる。さらに、深刻な人手不足で宅配に不可欠な配達員の確保もネックになっている。これからクリスマス・年末年始と書き入れ時に入るが、人手不足は機会損失や信用低下に直結しかねない。

 コロナ禍で巣ごもり需要の恩恵を受けた「宅配ピザ店」が、一転してアフターコロナを迎えて生き残りをかけた苦境に直面している。

東京商工リサーチの記事より

2023年(1-11月)の「宅配ピザ店」倒産は13件(前年同期比116.6%増、前年同期6件)で、すでに2009年以降の15年間の年間最多を更新した。

配達を伴わない持ち帰り割引の導入など、配達員不足への工夫も見受けられるが、「配達」の強みを手放せばレストランなどとの競合も避けられず、宅配ピザ業界は重大な局面を迎えている。

東京証拠リサーチの記事より


東京商工リサーチの記事より


東京商工リサーチの記事より
「既往のしわ寄せ」とは、過去の経営においておざなりにしてきたこと
経営の悪化につながったと理解してください

大分県内デリバリーピザ店店舗数(上位10社)

1位:ドミノピザ~4店舗

お持ち帰りピザ<半額>が大分市内の既存店にとって激震となった。

2位:ピザハット~3店舗


3位:ピザーラ~3店舗





4位:ナポリの窯~ゼロ
5位:ピザポケット~ゼロ
6位:ピザカルフォルニア~4店舗



結構人気店でしたが、持ち帰り半額、デリは20%OFF
儲かるというよりも、売上絶対額の確保(存続の危機)の販売条件ととらえた

7位:ロイヤルハット~ゼロ
8位:アオキーズ・ピザ~ゼロ
9位:ストロベリーコーンズ~ゼロ
10位:ピザクック~ゼロ

大分県内13市の中のわずか4市の市場しかデリバリーピザチェーンはない。大分市、別府市を馴染めとする県内各市には、それぞれローカルブランドのピザ専門店が人気を博している。

かっては原価率20%から始まったピザ専門店

30年近く前に、手づくりピザとパスタのお店の開業を手伝ったことがあります。その時の「ピザ生地の100gの玉(発酵済)の原価は10円でした。今現在、たとえ5倍になっても生地の原価は50円どまりです。(冷凍保存して解凍後に整形すれば済みます)

デリバリーピザ店の苦境の一つは、食材費の高騰が半端なく激しく、原価率が20%→25%→30%→35%→40%と上がるにつれ、デリバリーの宣伝費用を圧迫しだしたことです。

合わせて、過当競争による売上減、食材高騰のより原価率の高騰、人手不足による人件費の高騰従業員の絶対数の不足で苦しんでいます。

今は半額売りも盛んになり、業態破壊寸前の原価率50%に近づいているのではと危惧しています。

●印刷する紙が薄くなった(ペラペラの紙の厚さ)
●ページ数が少なくなった(当然写真が小さくなる)
●商品の良さより、割引率ばかり強調する(節約意識の高まりで売上減か)

来店型のピザ専門店は今でも儲かります。(推定原価率30%以下)ただ、既存店との差別化と美味しさの競合をどう切り抜けて、開業後1~3年をめげずに持続できるかが勝負目です。

デリバリーピザ店がテイクアウトピザ店に変るしかない理由

営業利益が確保できない事態になってきている。(事業性の喪失)

原価の高騰
前の文章で述べた通りです。たぶん20年前の2倍以上になっている。

人手不足
応募がない、雇用しても高時給でないとすぐ辞める、学生は試験期間は一斉に勤務不可となり安定しないなど。

デリバリーの採算性
かって弁当店のデリバリーにも関わりましたが、10年前の当時でさえ、バイク1台で月商50万円を売らないと採算がとれないという結果でした。

経費の内訳は、デリバリー専用バイクの購入と償却、携帯電話、ガソリン代(電気代)、車両保険代、生命保険代(転倒事故が多い)、人件費、修理費用がかかる。

仮に弁当が税込50%の原価の場合、人件費15%、償却費用他で15%であれば、かろうじて20%の利益が残る。さらに、ここから消費税を払う。

原価率が上がり、デリバリー経費が上がれば、望みの綱は「店売」になる。でもそうなれば、デリバリーピザ店ではなくなるという笑えない話です。

人口減少と高齢化で地場専門店が生残り、広域チェーン店が撤退する時代

ひとつの店舗が同じ形態を維持して、経営者不在の100%従業員経営を行う場合は、どうしても月商800万円以上、できれば1,000万円を超える月商が欲しいところ。

しかし皮肉にも、売上を上げるために、「20%OFF」や「50%」を実行すれば、売上は落ち、原価率は上がる。店舗売りに比べて、デリバリー経費が余分な経費となる。

そうなれば、価格競争がチェーン店ほど厳しくない、個店のピザ専門店で、店売80%、テイクアウト20%でする方が遥かに儲かる。

飲食業未経験で初めて開業する方は、1年前に著作した私のキンドル本を参考にしてみてください。
きっと、お役に立ちます。

私が参加しているマガジンです。よろしければご参加ください。

(了)

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オードリー7|🥕フードビジネスクリエイター
飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします