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飲食店未来学113:新ワンオペ飲食店のメリット④~客席は15席迄がベスト

この新ワンオペ飲食店とは、新たに増えつつある飲食店の負担(食材高騰負担、人件費高騰負担、人手不足負担、光熱費高騰負担など)をことごとくそぎ落とした形で「経営者と時々パートの組み合わせ」で繁盛を続けるラーメン店、魚専門店、ふるさと膳料理店などのお店の謎を解明す10回シリーズです。


令和7年度における客席数に関する考え方の間違いは、『客席数は多いほど売上が上がり儲かる』ということにつきます。

確かに売上高は多くなるが、客席数っが多いお店は、多くの食材を必要とするため食材の高騰の影響が大きく食材原価率が上がりやすい。また、人件費も、店舗家賃も、水光費も連動して上がるため、営業利益が確保できなくなっています。もう、客席数が多い方が有利という昭和から続く神話はもう幻想にすぎないのです。

令和5年後半から令和6年年末にかけて、インバウンドの恩恵のない飲食店の30席以上~200席の赤字店が増えてきています。

個人飲食店の開業やリニューアル店で赤字にならない最適な客席数を割り出すと、15席以下がベストという結論になりました。その理由を説明します。

15席以下のお店のメリット

目が届く客席数
ずっとむかし、私は飲食店のコンサルを始める前は飲食店へ食器を販売する会社に勤めていました。当時取引先だった北九州市で一番の人気寿司店は、「客席数7席」、しかも「当日仕入れたネタが切れたら昼の営業、夜の営業はストップして閉店する」お店でした。今はこのお店はありません。この経営者の考えを受け継いだのが当時と今の天寿司さんです。

この人気寿司店はなぜ7席しかないのか、私は寿司の勉強に来たと言って特別に寿司10貫を5,000円でいただきながらお聞きしました。

答えは、「7席迄だったら、どの人に何貫目まで出したか把握できる人数」かわかる限度の人数と説明され、「常連様ごとの特殊なオーダーの好みや癖も把握できる」と言われた。名人の限界挑戦力と高みをめざす心の驚嘆した。そしてカウンター内は、自分一人で仕事しないと、複数で仕事すると、把握できなくなるとも言われていました。

もう50年近く前の話ですがいまだにしっかり覚えています。当時で昼客単価7,000円。夜客単価10,000円超えのお店でした。

家賃が安い
店舗が小さい分だけ家賃が安いため、売上の月変動が大きい飲食店にとっては維持しやすい店舗規模です。立地がB級立地や市街地でも1回に面した立地でなければ、家賃が10万円以下というところも多々あります。

人件費が安い
平日はほぼ経営者1人の完全ワンオペ営業。週末の繁忙日だけパートさんが応援で入るから人件費がかからない店舗規模になる。

光熱費が安い
コンパクトなお店は、水道光熱費などが少額で負担が少ない。営業時間が限られれば電気代の負担も軽減できる。

お客さまとコミュニケーションがとりやすい狭くフラットな店内
一目で店内が見渡せるため、お客さまの管理がしやすい。コミュニケーションがとりやすい。これは、常連さんづくりに欠かせない条件です。ファミレスや大規模チェーン店ができないフレンドリーな接遇サービスがこのワンオペ店でできます。

15席以下のお店のデメリット

一定の売上限界点以上の売上はできない
客席数が限られるため、たとえば「客席数×20万円」(かなり良いお店の条件)が一つの限界月商となる。

★経営者の生活費を稼ぐ店
★経営者が思い描くこだわりを実現する店
★理解してもらえるお客さまだけ利用してもらえればよい店

こういうお店となるので、知っていて欲しい。

ワンオペ店の理想的な客席構成

15席の飲食店?ってなかなか狭すぎて想像できませんね。しかし、身の回りでは、ひっそりと目立たずに少しずつ増殖しているのがこの店舗規模のお店です。

やっぱり民間の力は凄い。耐性ウイルス菌のように、こんなに難しくなった飲食業界での生存条件を試行錯誤して一人一人が作り上げている。

研究者の私は、それを発見して法則化して広げることに使命を感じる。

■カウンター席が一列の店(A)

大分県竹田市の街なかにあったお店のスタイル。経営者の方は70代の女性。炊飯ジャーいっぱいに炊いた黄飯(おうはん)カレーがセットになった故郷定食1品だけのお店。おかずは揚物を除きすべて事前仕込みで盛付けだけ。

●対面なので接客が作業しながらできる
●左右のカニ歩きを強いられる
●調理盛付け食器洗いもすべてこの狭いカウンター内で完了できる

縦長や横長な店舗向き
イスの間隔設定もあるが無理がないのは8席どまりが良い
6席以下となると、通常よりも客単価が3倍~5倍もらえるなら可能な設定と言える

■カウンター席とテーブル1つのお店(B)

通常のテナントサイズ向きな客席設定。1人客~2人客が三々五々訪れるお客さまの対応時はカウンター席だけでできる。3名以上のお客さまや予約客はテーブル席を提供する形。

4人掛けテーブルは、週末時などは、2人掛け×2卓に分離しても良い。

専門店度を上げたお店にする場合は、カウンター内を料理の実演場所として設営すれば、客単価の向上を行える。また、場合により、ドリンク類はアルコールも含めてセルフとすることもできる。(夜型店の場合)*差別化

テーブル席はカウンター席から出るため、では入り口から近い場所が効率的です。


■カウンター席とテーブル席合計15席が限界の席数(C)

図を見ていただくとわかるように、繁忙日だけでなく、平日の繁忙時間もパートさんが必要な席数です。経験によると、パートさんが1人加わるだけで、ピーク時の売上高が50%アップになるため、パートさんの人件費を支払うことができます。

15席で客単価1,000円のお店
月商100万円を22日営業(週5日営業)売上げる場合の必要来店客数は
100万円÷22日÷1,000円≒45.5人

小さな店舗で1日平均45人はきつい数字です。平日の来店人数を考えれば、昼夜営業が必要な客単価になります。

15席で客単価2,000円のお店
月商100万円を22日営業(週5日営業)売上げる場合の必要来店客数は
100万円÷22日÷2,000円≒22.7人

昼営業だけ、夜営業だけに絞り込める来店人数目標数値です。月商100万円以上売りたい場合は昼夜営業をすると良い。客単価2,000円は少し料理内容や食材選択などにアイデアがないと、昼営業では高く感じる客単価であり、夜営業では安すぎる客単価です。

15席で客単価3,000円のお店
月商100万円を22日営業(週5日営業)売上げる場合の必要来店客数は
100万円÷22日÷3,000円≒15.2人

居酒屋や料理専門店などのお酒込み営業店や、中高級食材を使う飲食店の客単価です。昼営業だけ、または夜営業だけを選べる客単価になります。

15席で客単価4,000円のお店
月商100万円を22日営業(週5日営業)売上げる場合の必要来店客数は
100万円÷22日÷4,000円≒11.4人

料理単価3,000円、アルコール単価1,000円の合計4,000円の客単価のお店。完全ワンオペ店で運営するためには、時間がかかっても予約中心にお客さまづくりをするお店向き。夜向きな客単価。

月商100万円を超えたい場合は、営業時間をそのままにして、1年間で500円ずつ客単価を上げるほうが良い。


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(了)



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オードリー7|🥕飲食店研究家
飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします