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【連載 RingNe プロジェクト】 第2回 イマーシブ・フェスティバルとは何か?体験作品「RingNe」を作って、感じて、その世界に没入する

架空の世界観に没入する「イマーシブ(英:Immersive)」とはどのような状態だろうか?

自分は高校時代に英語の授業の一環でイマーシブ講座という授業を受けた。
それは外国人の先生から英語で数学やコミュニケーション英語等の授業を受けるもので、英語の世界に没入することを通して英語で思考する力を身に着けることを目標としている。

その時、僕は初めて「イマーシブ」という言葉を知った。

最近は様々なコンテンツを通して「イマーシブ(没入)」を体験する機会が増えている。
例えば映画の世界をアトラクション形式で体験する「ディズニーランド」や「ユニバーサルスタジオジャパン」、昭和レトロな世界を体験できる「西武園ゆうえんち」などが最近では有名だ。

1.  RingNeプロジェクトが作る「イマーシブ(没入)」とは?

タイトルにある最近僕がこそこそと関わっているRingNeプロジェクトというのは、人間が死後の世界で植物に輪廻転生する世界に没入する、いわば体験作品を創り上げるプロジェクトである。

2023年から2025年の3年がかりで年に1度、神奈川県南足柄市の「夕日の滝」でフェスティバルを行う。
去年に続き、今年は第2章を9月22日に開催する予定だ。
去年は300人集まったが、今年はさらに多くの人が集まるらしい。

人里離れた大自然の中で、人間が植物に輪廻転生していく感覚を体験する。
この物語の世界は、人は死後植物に輪廻転生することが科学的に解き明かされ、植物と人との関係が非常に密接となっている。
特に故人の魂が転生して乗り移った植物は「神花(しんか)」と呼ばれ、丁重に扱われている。
現実世界で言えば、我々がお墓や靖国神社を故人が眠る場所と捉え、大切に扱い、時には信仰するような感覚に似ている。

例えば、RingNeの世界では以下のような植物信仰の儀式が行われる。

  • 土還の儀:自らが望む植物に転生できるように、土に埋まって行う修行。

  • 緑進の儀:輪廻転生する者たちが人間である最期の時間を祝福する儀式。

  • 草雨の儀:滝に打たれて身を浄化する儀式。

  • サンゲイズ:植物が光合成をする感覚を会得し、太陽光を浴びて心身を活性化する儀式。

「土還の儀」と「緑進の儀」は実際に体験するとどんな感覚になるか、正直まだ想像がつかないと思う。
土に埋まるという経験をしたことがある人はどれだけいるだろうか?
おそらく信仰心による神聖な目的で自ら志願した人はいないかもしれない。

ちなみに去年のRingNeフェスティバルでは企画段階で「堆肥浴」といい、土が発酵する際の熱を利用した土のサウナなるものが検討されていたそうだ。

「草雨の儀」と「サンゲイズ」は想像できる。
滝に打たれることで交感神経が活発になり、目が覚めたような感覚になる。
太陽光を自然豊かな森の中で浴びると、脳内のセロトニンが分泌され、森の中のマイナスイオンは新陳代謝や自然治癒力を向上させ、細胞が活発される。

つまり、植物の感覚を味わえるのだ!
それも、科学的にその効果は明らかにされているため、小説の世界観に没入できるような気がする!

偉大な力を持つ植物を崇拝し、植物の感じる世界を体感し、人間として生きている今を五感で堪能していくのがこのRingNeフェスティバルのコンセプトである「イマーシブ」だ。
そして植物と人間の関係を再定義し、植物の立場から持続可能な社会とは何かを皆さんで考えていく機会を考えてみるのも面白いかもしれない。

昨年の10月8日に開催された第1章では音楽ライブ、プロジェクションマッピング、マルシェ、植物神輿による祝祭などが行われ、実際に僕も参加した。

参加者はみんな個性が強く、その個性と個性がぶつかり合い、人間が死後、植物に輪廻転生する世界を現実に体験するイベントを創り上げる。
無数のアイデアが飛び交い、それぞれのメンバーが才能を持ち寄って芸術、音楽、装飾、映像、イベントを企画・制作しRingNeフェスティバルを創り上げていく。

植物の世界は大きく広がると森になる。
森は樹木や花、キノコ等の細菌類、昆虫、動物など多種多様な生物がそれぞれの「生」を全うしながら生態系を構成している。
生物にはそれぞれの役割があり、それぞれの個性があり、けれども一つの「森」としてお互いが繋がり合うことで一つの世界を作り出している。

RingNeプロジェクトも似たようなものだと思う。
人の個性が集まって森になっていく過程を3年間かけて体験し、年に一度のフェスティバルでは実際に植物になる感覚を体験してみる。

気づいたら本当に植物になってしまっているかもしれない。
この感覚こそがRingNeの世界観に「イマーシブ(没入)」することなのかもしれないと思う。

2.  小説「RingNe」のあらすじと読後の感想

人は死後、植物に輪廻することが量子化学により解き明かされた。この時代、人と植物の関係は一変した。 植物の量子シーケンスデバイス「RingNe」の開発者、春は青年期に母親を亡くし、不思議な夢に導かれてRingNeを開発した。植物主義とも言える世界の是非に葛藤しながら、新たな技術開発を進める。幼少期に病床で春と出会った青年、渦位は所属するDAOでフェスティバルを作りながら、突如ツユクサになって発見された妻の死の謎を追う。森林葬管理センターの職員、葵は管理する森林で発生した大火災に追われ、ある決断をする。 巡り合うはずのなかった三人の数奇な運命が絡み合い 世界は生命革命とも言える大転換を迎える。 前作「KaMiNG SINGULARITY」に続き新たな生命観を立脚する、植物と人間とAIの生命を巡る物語。(原作小説「RingNe」あらすじより)

https://kakuyomu.jp/works/16817330651360256883

物語の中で、彼ら3人の主人公はそれぞれ違う目的を持ちながらも偶然や必然で交錯し、それぞれ関わっていく。そして人間が死後の世界で植物に転生する世界と全てが合理的なAI世界で自己の魂が永遠に生き続ける世界、この2つの世界が出来上がる。その中で3人はそれぞれの人生の終わり方を探っていく。

この『RingNe』という小説の読後感として、人間であるからこそAIや植物の世界に存在しない「非合理さ」「意味の無い」ことに実は意味があり、それも人生において大切なことであると感じた。
非合理的なことは本作品で描かれる死後のAI世界や植物の世界には存在しない。
AIによって世界が合理的に管理され、植物の世界でも森を構成する木々や花、細菌類や動物は全て本能に基づいて合理的に生態系を維持している。
しかしAIも植物の世界もエコシステムの構成メンバーが「生命維持」をしていくこと、ただそれだけを目的に合理的な生き方が全メンバーに埋め込まれている。
人間として生きている以上、感情なり欲、見栄があり、だからこそ不条理なことも、非合理的なことも起こりえる。それで人間は幸せを感じることもあれば不幸に遭遇したりもする。
ただ生きていくだけなら踊ることも、歌うことも、好きなものを身に着ける必要は無い。衣食住さえあれば問題ない。けれどもただ生きるだけの人生はなんとも空虚だ。
人間が人間らしく生きる上で文化が必要だ。
文化というのは衣食住が満たされた上での「余白」がなければ生まれない。
逆に衣食住が満たされない、または衣食住つまり生命維持だけを目標していたら文化は生まれない。
我々は人間に生まれたからこそ、幸せを感じることも、不幸に遭遇することもある。
歌ったり、踊ったり、創作したりできる。

だから、RingNeフェスティバルでは人間でいられる時間を全力で祝おう。

3.  RingNeフェスティバル 2024開催のお知らせ

ここまで記事を読んでくださり、ありがとうございました。
RingNeフェスティバルは2023年から2025年までの3年間、1年に1度、神奈川県南足柄市の「夕日の滝」で実施します。

  • イベント名:RingNeフェスティバル 2024

  • 場所:神奈川県南足柄市「夕日の滝」

  • 日時:2024年9月22日(日)

  • 公式サイト:以下をご参照ください!

下記にRingNe 2024の公式サイトに関するリンク、原作となっている小説『RingNe』のリンクを添付しますのでぜひ読んでみてください!
また、これからnoteにて【連載 RingNeプロジェクト】は週に1度のペースで更新していきたいと思います。

僕自身はライターとしてこのRingNeフェスティバルに関わり、作品のコンセプトや創作過程をより多くの方々に発信していきたいと思います。
そして人間として生きている今を、創作活動を通して祝い、楽しみたいと思います!

もしRingNeプロジェクトにご興味のある方はフォロー、いいねをしてくださると励みになります。

RingNe 2024 更新HP

「RingNe」の原作小説(カクヨム)


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